• Skip to main content
  • Skip to header right navigation
  • Skip to site footer
Gestaltmaker

Gestaltmaker

  • Home
  • About Us
  • Articles
  • 無料eBooK
  • Contact Us

『年収は「住むところ」で決まる』の要約: 経済地理学が明かす「都市」と「所得」の関係

7:49 am Last Modified: 12月 26, 2024 by: Yuuki F. Davis
年収は「住むところ」で決まる ブックカバー

Enrico Moretti(エンリコ・モレッティ)の著書、『年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用とイノベーションの都市経済学』の要約とBook Reviewをしていきます。本書は一般的に言われている、「年収は個人の学歴やスキルで決まる」そういった通説でなく、「住んでいる場所によって年収が左右される」というものです。

簡潔にまとめると、「高学歴で地方に住んでいる人物より、高卒でもビジネスが好調な都市に行ったほうが、給与が高い」という内容です。

本書で紹介されているのは、アメリカのシリコンバレーやニューヨークなどの地理で解説されていますが、日本でも通用する内容です。同じスキルや経験を持った人でも、シリコンバレーやニューヨークのような「知識産業都市」に住む人と、衰退しつつある製造業都市(ラストベルト・さびついた工業都市・デトロイト、セントルイス、クリーブランド)に住む人とでは、収入に差が生まれていきます。

なぜこんなことが起きるのか?それは「知識経済」と「都市の集積効果」が関連しているためです。高スキル労働者が集まる都市では、才能やアイデアが交差し、イノベーションが次々と生まれます。これが賃金を押し上げ、都市全体を成長させます。

さらに、この本がおもしろいのは単なる経済の話に留まらない点です。モレッティは「住む場所」が個人の年収だけでなく、教育、健康、人間関係にまで影響を与えることを明らかにしています。これは単なる『お金の話』ではなく、私たちがどのような人生を送りたいかという『生き方の問題』です。

では、日本で考えたときに収入を上げたい場合は、私たちはどこに住むべきなのでしょうか?それは、知識産業都市(東京・大阪)が答えです。(ただし、あくまで従業員として働くという意味で、自分でビジネスを起こすのは別。)東京に人口が集中しているなかで、都市に移住するのが正解なのか、それとも他の選択肢はあるのか?それと、これから避けては通れない「移民問題」に関しても、著者は「優秀な移民を取るべき」という主張をしています。

Contents

  • 1.『年収は「住むところ」で決まる』の概要
  • 2.年収が都市によって異なる理由
  • 3.iPhoneはアメリカ製か?
  • 4.地方と都市による日常格差
  • 5.学歴と移住の関係
  • 6.教育と人材が生み出す経済格差
  • 7.『年収は「住むところ」で決まる』を読んだ感想
  • 8.まとめ:『年収は「住むところ」で決まる』の核心とは?
  • 9.よくある質問(FAQ)

1.『年収は「住むところ」で決まる』の概要

年収は「住むところ」で決まる ブックカバー

  • 年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用とイノベーションの都市経済学
  • 著者: エンリコ・モレッティ
  • 発売日: 2014/4/23
  • 出版社: プレジデント社
  • 価格: 2,200円
BUY NOW

本書のテーマと目的

『年収は「住むところ」で決まる』は、私たちの年収やキャリアの成功が、個人のスキルや努力だけではなく、「どこに住むか」という地理的要因に依存していることを明らかにした経済書です。

著者エンリコ・モレッティは、膨大なデータと統計を使って、マクロとミクロの視点で都市ごとの経済格差や労働市場の動向を見ながら、私たちの「住む場所」によって何が変わるのかを示唆しています。本書の目的は、経済成長、都市経済、移民問題、そして個人の幸せのモノサシを「地理」という視点から俯瞰しています。

著者エンリコ・モレッティとは?

エンリコ・モレッティは、イタリアの経済学者で、カリフォルニア大学バークレー校の教授であり、労働経済学、都市経済学、そして経済成長の専門家です。彼の研究は、経済の地理的要因が労働市場や教育に与える影響、ミクロとマクロの視点で私たちの生活にどのように関わっているのか分析しています。本書『年収は「住むところ」で決まる』は、これらの研究成果をまとめたものです。

モレッティは「知識経済」と呼ばれる現代の経済構造や、高スキル労働者が集まる都市がどのようにして他の都市と比べて、成長を遂げているのかを明確に示しています。単なる理論にとどまらず、国や都市、地方運営の施策にもなりえます。

なぜ「都市」が年収を左右するのか?

本書の軸となる部分は、「なぜ都市が年収を左右するのか」という問いに対する答えです。その理由には「集積効果」があります。集積効果は、高スキル労働者や知識産業がある特定の都市に集中することで、互いに影響を与え合ったり高めることで、生産性や付加価値を向上させる効果です。

さらに、都市には教育水準の高い労働者が集まりやすく、労働市場が発展しています。これにより、優れた労働力が働くことで、企業の競争力も高まっていきます。何かひとつの要因だけでなく、複数の要因が組み合わさり、同じスキルや経験を持つ人でも、住む都市によって年収の違いが生まれます。

2.年収が都市によって異なる理由

年収が都市によって異なる理由

ではなぜ、住む場所によって年収は変わるのでしょうか?住む場所や都市ごとに年収が違ってくる背景には、そもそもの経済構造や産業の違い、労働市場、さらには地理的要因が絡み合っています。現代では「知識経済」と呼ばれる知識の差も大きく、高度な知識やスキルを持つ労働者が経済成長の基盤になっていて、彼らを引き寄せる都市とそうでない都市との間で経済的な格差が広がっています。

その他にも、イノベーションと呼ばれる技術革新や新産業が誕生しやすい環境が都市によって変わるため、それに伴って収入の水準にも差が生じています。

「知識経済」の登場

「知識経済」の登場によって仕事の働き方は変わっていきました。21世紀に入りテクノロジーが加速すると、工場などの単純労働よりも知識集約型産業が主導権を握っていきます。ITやバイオテクノロジー、金融、研究などの分野では、それぞれの知識や専門性を持っている労働者が必要です。

これらの知識産業は都市に集まりやすい傾向があります。その理由は、都市には質の高い教育があり、研究機関も多く、それによって適した知識や人材が都市部に集中するからです。また、都市はそれぞれの産業との連携もスムーズなので、企業間の情報交換や協力が促進されるため、新しいビジネスモデルや技術が生まれやすい環境になります。

さらに、都市部では新しいアイデアやビジネスチャンスが生まれることも多く、リスクを取ることで、それに対するインセンティブも大きくなります。たとえば、シリコンバレーはその典型例で、高度な技術を求める人材や起業家が世界中から集まることで、新たな産業が次々と生まれています。このように、知識経済が発展する場所として都市が機能することで、都市ごとの年収格差が生じる要因となっています。

高スキル労働者と都市の集積効果

高スキルを持つ労働者は、都市において重要な存在です。なぜなら、彼らは新しい価値を生み出し、経済を加速させる役割を担っています。都市には優れた教育機関や研究施設、ネットワーキングの場が多くあるので、これらが高スキル労働者を引き寄せる要因となります。

さらに、都市が高スキル労働者を引きつける理由には、「集積効果」もあります。集積効果は、同じ産業や関連する産業が地理的に近くにあることで生まれる経済的なメリットです。また、都市にはそれぞれ違ったな文化や価値観を持つ人も集まっていて、クリエイティブなアイデアが生まれやすい環境が整っています。異なるバックグラウンドを持つ人材同士が、新しいビジネスや技術を生むきっかけになります。

都市に集中するのは良いことだけでなく、生活費や不動産価格が高騰しやすく、年収が高くても生活の質と幸せを感じるレベルが必ずしも向上するわけではありません。しかし、それを上回るほどのキャリアや自身の成長、ネットワーキングの恩恵が都市にあるため、高スキル労働者は都市への移住を選ぶことが多いです。

技術革新が生まれる場所は?

たとえば、シリコンバレーや東京、ニューヨークなどは技術革新の中心地として知られています。これらの都市では、企業と大学、研究機関がそれぞれ連携し、新しい技術や製品を生み出すシステムが構築されています。また、都市にはリスクを取る資本家や投資家も集まるため、新しい技術やアイデアを事業化するための資金調達もしやすくなります。

それに伴い、それぞれの分野で競争環境にあるため、常に新しい技術やサービスを開発し続ける必要があります。この競争環境がさらなる技術の推進力となり、年収の向上や都市の経済成長を支える要素になります。都市によって年収が違う理由は、知識経済、高スキル労働者の集積効果、そして技術革新の生まれやすさにあります。これらが相互に作用し合うことで、都市ごとに経済的な格差が生まれ、結果として年収の差となっていきます。

都市部の高卒者は下位都市の大卒者よりも年収が高い

上述した理由から、都市部では「知識産業」と呼ばれる分野に高いスキルと専門性が求められます。しかし、こうした産業の波及効果は、高卒などのエントリーレベルの仕事であっても、都市部の生活コストや労働市場の需要と供給のバランスから比較的高い賃金をもらうことができます。たとえば、東京都や大阪府では高卒者が物流、営業、販売などの職種に就いた場合でも、地方の大卒者が地域の企業で働くよりも高い収入を得ることが珍しくないのと同じです。

大卒だからといって、必ずしも高い収入を保証はされておらず、むしろ都市部では、即戦力や経験、適応力を見られることが多く、学歴はスタート時点の要素に過ぎません。一方で、下位都市では大卒者が求められる職種やポジションが限られており、学歴を活かす機会自体が少ないという問題もあります。

3.iPhoneはアメリカ製か?

イノベーションと聞くとApple(iPhoneやiPad)を連想するかもしれません。なぜなら、iPhoneは世界で有名なテクノロジー製品だからです。ただ「製造国」については多くの誤解があります。Appleはアメリカの企業ですが、iPhoneの生産プロセス(サプライチェーン)は多国籍に広がっており、製品が完成するまでには複数の国や地域が関わっています。これはアメリカだけでなく、『日本の経済安全保障』のように、供給の最適化が求められています。

Appleの仕事は付加価値の提供

iPhoneの心臓部となっている「設計」と「開発」は、アメリカ・カリフォルニア州クパティーノにあるApple本社で行われています。ここでは高度な専門知識を持つエンジニアやデザイナーが、iPhoneのハードウェア設計、iOSのソフトウェア開発、革新的なユーザーインターフェースの構築など、製品の中核部分を担っています。

また、プロダクトマネジメントやマーケティング戦略も同様に本社で行われており、製品がどのように市場に投入されるか、どのようにブランディングされるかについて綿密に計画されます。これらの業務は「高付加価値業務」と呼ばれ、Appleが世界で戦っていくための戦略となっています。

つまり、iPhoneの「頭脳」とも言える部分はアメリカ国内で生み出されています。しかし、その後の製造や組み立て作業の多くは、アメリカ国外で行われています。これはコスト削減や効率化を目的とした戦略的な選択です。

iPhoneのサプライチェーンの仕組み

iPhoneは「アメリカ製」という単純なラベルではなく、複雑なサプライチェーンの上に成り立っている製品です。その過程では、複数の国や地域がそれぞれ違った役割を持って、それぞれ連携しながら製品を完成させています。

iPhoneに使用される電子部品の多くは、シンガポールや台湾で製造されており、半導体チップやプロセッサ、メモリモジュールなど、高度な技術を要する部品は、これらの地域で作られます。これらの部品はiPhoneの動作を支える基盤で、これらの品質は製品全体のパフォーマンスに与えます。

次に、製造された部品は中国・深圳に運ばれ、工場で組み立てられます。ここでは、多くの労働者がシステマチックな生産ラインで作業を行い、iPhoneが生産されていきます。このサプライチェーンは、単にコスト削減だけを目的としているわけではありません。それぞれの地域が持つ技術力やインフラ、労働力を活かすことで、製品を作る仕組みが構築されているのです。

なので、iPhoneは「設計・開発はアメリカ、部品製造はシンガポールや台湾、組み立ては中国」といった形で、国境を越えた連携のもとで生み出されている製品になります。

4.地方と都市による日常格差

地方と都市による日常格差とは

ここからは、都市部と地方に住むことによって年収だけでなく、健康や寿命、さらには離婚率においても、地域格差が生じていくのを見ていきます。都市部と地方、経済的に豊かな地域とそうでない地域では、文化的背景の違いによって、さまざまな要因が影響を及ぼしています。これらの格差は、統計上の数値ではなく、個人や家族、地域社会全体の生活の質に関わっています。

健康や寿命による地域格差

平均寿命は私たちの健康状態や、人生の幸福度の指標になります。これは遺伝的な要因だけでなく、個人のライフスタイルや経済面によって違ってくる問題です。日本ではあまり感じられないが、アメリカでは病院などの医療インフラの状況、所得水準、教育レベル、食生活、さらには地域文化によって左右されます。

地方や過疎地域では、医師や医療従事者の不足だけでなく、交通アクセスの問題、健康意識の低さが健康状態の悪化や寿命の短縮につながる要因となっています。

また、経済格差も健康や寿命に影響を与えます。経済的に豊かだと、住民は栄養バランスの取れた食事や定期的な健康診断を受けるをとうぜんと思っており、ストレスも対応しやすい環境(社会的乗数効果)があります。反対に、経済的に苦しかったり困難な状況が多い地域では、健康維持のための基本的な医療や栄養補給すらままならないことが多くなります。

さらに、教育水準も健康や寿命に影響があります。教育水準が高い地域では、健康に対する意識が高く、生活習慣の予防や定期的な運動習慣を持っている人が多くなります。これに対して、教育水準が低い地域では、喫煙をする人が多かったり過度な飲酒、不健康な食生活というのが広がりやすく、結果として健康状態や寿命に差が出ることになります。教育レベルの低い人が、同じように教育レベルの低い人に囲まれていると、その影響を大きく受けてしまい不健康な生活習慣になりやすくなります。

離婚率と政治の地域格差

教育と所得の問題は、夫婦の結婚生活にも影響を及ぼしています。もちろん夫婦が離婚するには、いくつかの要因が絡み合っていますが、経済状態の悪さが離婚の引き金になっている場合も少なくありません。夫婦関係がうまくいっていないとき、経済的な問題があるとその夫婦は「離婚」という選択肢を取ることが多くあります。アメリカで離婚率が高いのは、ミシガン州フリントで28%の人が離婚経験を持っていることになります。

さらに、政治の参加も地域格差に繋がっていきます。一般的に、政治への関心や興味あるという層は、経済的に豊かだったり教育レベルに相関関係があります。政治への参加が活発な地域では、住民が政策やテーマに関心を持っており、ニュースをチェックしたり自分たちの生活を改善しようとする意識が高い傾向があります。一方、政治への参加が低い地域では、そもそも投票に行かなかったり、政治に関心を持っていなかったりまします。

このように、離婚率と政治参加の格差は単なる数字ではなく、その地域社会の経済、文化、教育などの状況をも反映させています。

非営利事業の地域格差

現代のアメリカでは、非営利団体が文化、教育、医療分野でなくてはならない存在です。全医療機関の半数以上、大学の3分の1、文化団体の大半が、非営利団体からの助成金に支えられている状況だからです。非営利団体は、経済的に困難な状況にある人々を支援するだけでなく、多くの人に文化や教育を提供し、社会的な基盤を支えています。

一方で、非営利団体の活動は、営利企業からの資金に大きく依存している状況です。そして、その資金提供の多くは、地元に根ざした形で行われています。

ある都市に企業の本社が設立されるたびに、その地域の非営利団体への年間寄付金は約1,000万ドル増加していきます。しかし、寄付を行う主体は企業そのものではなく、主にその企業で働く幹部たちによるものです。企業の本社が都市に移ってしまえば、必然的に高所得者層が増えます。彼らの収入は企業の業績に連動しており、業績が好調であれば、非営利団体への寄付額も増えます。

ただし、企業そのものが地元の非営利団体に大きな寄付をするケースは少ないのが現状です。なぜなら、大企業の場合、顧客や従業員が全国各地にいるので、本社のある地域だけに資金を集中させるインセンティブが低いからです。

このように、企業の本社移転をすると、その都市に経済的・社会的・文化的に影響をもたらし、非営利団体への支援にも貢献していきます。

5.学歴と移住の関係

学歴と移住

アメリカでは、どこに住むかが個人のキャリアや年収、健康やライフスタイルにも影響を与えているかが分かったところで、ここからはアメリカと著者が生まれたイタリアを見ていきます。この「移住」という文化は、個人が生きていくなかで環境が変わる要素のひとつです。しかし、その移住に対する姿勢や頻度というのは、国や文化、そして学歴によって大きく異なっています。

学歴が高いほど移住の可能性が高くなり、学歴が低いほど地元にとどまる傾向が強いという事実は、地域経済や労働市場の構造に影響を与えているからです。

アメリカ人とイタリア人の移住

アメリカ人は移住意欲が他の国と比べて、高い国民性を持っています。経済的チャンスがあれば追求し、有利な雇用市場やビジネス環境がある都市へと積極的に移り住むためです。

シリコンバレーのテクノロジー産業や、ニューヨークの金融業界、テキサスのエネルギー産業など、経済活動が活発な地域には全米から高スキルを持った知識層や優秀な人材が集まってきます。このように、アメリカでは経済的合理性を重視する個人なので、より良い生活やキャリアを求めて移住することが一般的です。

一方でイタリアでは、アメリカとは正反対の傾向が多く見られます。イタリア人は、自分が生まれ育った町で生涯を過ごすことを選択することが多いからです。彼らは「経済的な利益」というより、家族や友人との繋がり、地域への帰属意識を優先する文化を持っています。さらに、ヨーロッパでも、地元にとどまることで親や友人と絆を保つことが美徳とされる傾向があり、経済的チャンスやキャリアアップの機会を放棄してでも、地元で暮らすことを選ぶ人が少なくありません。

この文化的背景から、イタリアや他のヨーロッパ諸国では優れた才能やスキルを持つ人材であったとしても、移住を選ばないケースが多く、結果として経済的な成長が抑制されることもあります。対照的に、アメリカでは「機会を求める移住」にそれほど抵抗がないため、都市間の移動が労働市場を活発にし、経済全体の流れを作っています。

これはどちらが良い・悪いということではなく、それぞれの地域や文化に基づいた流れになっています。イタリアであっても経済を優先するのであれば、地元から移るだろうし、家族や友人などのコミュニティを大事にするのであれば、地元に留まるという選択をしているからです。

学歴の低い層は地元にとどまる

アメリカでは移住が多いという傾向には、学歴が関わってきます。一般的に、教育レベルの高い人ほど移住する確率が高くなっています。大卒者や高等教育を受けた人は、専門的なスキルや資格を活かそうと、都市部や産業集積地(イノベーション分野)に移住する傾向があります。彼らはより高い報酬やキャリアアップの機会を求め、柔軟に生活拠点を移すことができます。

その一方で、高卒者や高校中退者は地元にとどまる傾向が強いことが明らかになっています。高卒者は移住する場合でもそのペースは緩やかで、町を離れる決断をする人は限定的です。なかでも、高校中退者に関しては、移住するケースはごくわずかです。彼らは地元のコミュニティや家族との繋がりを重視し、見知らぬ土地で新たな仕事や生活を築くリスクを避ける傾向があります。

この違いには、いくつかの要因が関係しています。まず、教育レベルが高い人ほど、遠方で働くためのネットワークや情報を得やすいという点があります。また、高学歴者は新しい環境に適応する能力や自信が高く、移住を選ぶ心理的ハードルが低いのもあるでしょう。

一方、学歴の低い層は、地元以外で働くためのスキルや自信が不足していることが多く、移住に対する不安が大きくなります。また、地元に残ることで親や家族からの支援を受けやすいというメリットも存在します。結果として、高学歴者はキャリアチャンスを追って、より高い収入を得ることができますが、低学歴者は地元に残り、限られた職業選択肢のなかで生活を続けていきます。

この学歴による移住の違いは、地域ごとの経済にも影響を及ぼします。高度な教育を受けた人材が流出しやすい地方では、経済活動が停滞しやすくなります。反対に、優秀な人材が集まる都市では、優秀な人材が入ることで、さらに産業が活性化し、イノベーションが加速していきます。

6.教育と人材が生み出す経済格差

『年収は「住むところ」で決まる』を考えていくと、教育は個人の収入やキャリアの成功に影響を与え、国や地域経済全体にも広がっていくことになります。「雇われ」が前提になりますが、高等教育を受けた人ほど多くの年収を得る傾向にあって、大学進学はリターンの高い投資になります。しかし、教育によって不平等になり、経済格差をさらに広げる原因にもなります。

また、日本ではイノベーションの停滞や移民政策においても、人材不足や経済成長の停滞を招く要因となっています。自国教育の充実と人材育成、それぞれ柔軟な政策の導入が、経済を支えていくベースになります。

格差の原因は教育

アメリカでは教育という、学歴による収入の違いが顕著に表れています。1980年代と比較すると、高校卒業者や高校を卒業していない労働者の賃金は少しづつ減っています。低学歴層になると、テクノロジーの進化やグローバル化による影響を受けて、工場などの単純労働の需要が減ったことで、彼らの賃金は長期的に低くなっています。

それに比べ、大卒者の賃金は上がっており、さらに大学院を修了した人の賃金はそれを大きく上回っているのが現状です。これは、専門的な知識やスキルを持っている労働者に対する需要が高まっているからです。情報技術(IT)やデータサイエンスなどの、先端医療といった分野では、専門的な知識を持った労働者が不可欠で、彼らの報酬は市場の需要とともに上がっています。

教育という根本的な問題が、賃金格差を左右する要因になっていることは、もはや疑いの余地がありません。高等教育を受けた人は、変化があったとしても労働市場に適応する力を備えており、安定した収入とキャリアの手にすることができます。アメリカでTOP1%の人が富を持っているから格差が広がっているというより、中間層同士でそれぞれの違いが結果を生んでいます。

大学進学はハイリターンの投資

大学進学は、現代においてリターンの高い投資のひとつです。大学で得られる知識やスキルは、個人の生涯賃金を引き上げるだけでなく、雇用の安定やキャリアの選択肢も広げてくれるからです。

高校卒業者に比べ、大学卒業者は高収入の職に就くことが多く、経済的な安定を受けやすい傾向があります。また、教育レベルが高い人ほど、社会的責任感や倫理観が育まれるため、犯罪に関わる確率が低くなるというデータもあります。

さらに、大学教育を受けることは、その個人の経済に反映されるだけでなく、社会にも恩恵をもたらします。学歴層が増えることで技術が進み、経済が促進され、犯罪率が低下し、社会的コストが減るといった効果も期待できます。

大学への進学はリベラルアーツや学問をするだけでなく、自分の市場価値を高め、未来の選択肢を広げるための「ハイリターンの未来への投資」となります。

日本のイノベーションが消えた理由

1980年代、かつての日本は、世界のハイテク産業をリードする技術大国としての地位を持っていました。ですが、ここ20年ほどでその勢いは失われつつあります。ソフトウェアやインターネット関連ビジネスにおいて、日本企業の影響力は失っています。その背景には、いくつかの要因があります。

まずは、「言語の壁」。ソフトウェアなどグローバルな市場で活躍するには、英語を中心とした国際言語でのコミュニケーションが欠かせません。しかし、多くの日本企業は言語の壁を乗り越えることができず、グローバル市場への進出が遅れてしまいました。

次に「人材不足」。アメリカが世界中から優秀なエンジニアや研究者を引き寄せたのに対し、日本では法的・文化的・言語的な障壁があり、外国からの高度人材の受け入れが難しい状況が続いてきました。その結果、ソフトウェアエンジニアやデジタル分野の専門家の層が薄くなっていきます。

さらに「移民政策の違い」です。アメリカは高度な技術を持っている移民を積極的に受け入れ、シリコンバレーをはじめとするイノベーションとなる中心地を作っていきます。しかし、日本では依然として移民受け入れに対する抵抗感が強く残っており、そのために多くのチャンスを逃してきました。

このように、言語、人材、政策のいくつもの要因が絡み合い、1980年代に元気のあった日本のイノベーションの停滞を引き起こしています。

移民政策の転換と自国の教育

日本が再び技術革新の国になるためには、戦略が必要です。まずはなんといっても「移民政策の転換」です。誰でも移民させるというのでなく、高度な教育を受けた移民、大学卒や大学院卒の外国人を優遇し、積極的に受け入れることです。彼らは新しい技術や知識、ビジネスモデルをもたらし、日本企業の競争力を高めてくれる存在です。

次に「国内教育の充実」です。移民に頼るだけではなく、質の高い教育を提供し、将来的に国際的な舞台で戦える人材を育てていきます。なかでも、デジタルスキルや英語教育、創造性を育むカリキュラムが必要です。

これらの戦略を進めることで、日本はグローバルな技術競争において優位性を取り戻し、経済成長を考えることができます。今後の日本の成長のためには、教育と移民政策の改革が不可欠であり、それらが未来を左右することになります。

7.『年収は「住むところ」で決まる』を読んだ感想

Enrico Moretti(エンリコ・モレッティ)の著書『年収は「住むところ」で決まる』を読了!🏙️💼

「住む場所」が収入に影響している件について🌍
都市はただの場所じゃない。「どこで働くか」が重要🗺️#読書 #年収は住むところで決まる pic.twitter.com/GL8uV7IrY2

— ユウキ・F・デービス (@yuukifdavis) December 26, 2024

本書は、アメリカの地形で解説が進んでいくので、これらをすべて日本に当てはめることはできません。日本でイノベーションが起こるのは東京ぐらいしかありませんし、大阪も東京に比べれば、チャンスが多いとも言えない状況です。それだけ東京という都市がもたらす「集積の力」は大きいものがあります。

東京に一極集中と言われるように、多様な人々やアイデアが集まり、ネットワーク効果によって新たな価値が生まれやすいのは、とうぜんです。著者は、これを「地の利」と呼び、多くの年収を得るにはこの地の利を活かすことが最善としています。たとえば、シリコンバレーやニューヨークのような「スーパースター都市」に住めば、高度なスキルを持つ人はより多くのチャンスを掴めるし、そうでなくとも報酬は高くなる傾向があります。

その一方で、地方や人口密度の低い地域に住むことのデメリットも示されており、選択の難しさが浮き彫りになっています。

本書で比較したアメリカとイタリアのように、全員が都市に住むべきだという単純なことではありません。なぜなら、個人によって「何が重要か」が違ってくるためです。年収やキャリアに重きをおく人もいるだろうし、家族や友人などのコミュニティを優先してもいいのです。それが「自己選択」という視点です。

たとえば、よりクリエイティブな仕事を目指す人には芸術やテクノロジーの中心地が向いているけれど、家族を育てるにはコストが低く安全な場所が適していることもあります。この柔軟な視点が、単なる都市賛美とは違うバランス感覚を持たせています。また、著者が強調しているのは「環境が人を作る」というシンプルなことです。『複利で伸びる1つの習慣』のように、私たちが日々接する人や情報や行動は、複利的に伸びていきます。そしてこれらの空気感までが、自分の価値観や行動を無意識のうちに形作っているという事実は忘れてはなりません。

著者はマクロとミクロの視点でまとめていますが、本書でする提案は一般的に、「雇われた形」の年収であって、「自分でビジネスを起こしている人」にとっては、それほど重要ではないこともあります。さらに、「どんな場所に住むか」を選ぶ前に、「自分がなりたい未来の姿を基準にする」という考え方は必須です。未来の自分をイメージして、それにふさわしい場所を選ぶこと。それは「場所」という概念が単なる背景ではなく、私たちの作り上げる要素になっています。今いる場所で満足しているのか、それとも新しい環境に飛び込むべきなのかの視点をくれます。

8.まとめ:『年収は「住むところ」で決まる』の核心とは?

本書の核心は、「住む場所」が持つのは経済的な影響力だけでなく、都市ごとの賃金格差や産業構造の違い、生活コストの影響など、さまざまな要因を具体的なデータをもとに解説しています。また、都市の選択が収入の側面だけででなく、教育、健康、ネットワークといった生活全般にわたる質の向上にも繋がっていきます。

さらに、都市間格差の背景にある社会的、経済的メカニズムを、どのように使って個人の結果に結びつけるかという戦略的なアプローチも示されています。これまでの「個人の努力がすべてを決める」という考えでありません。本書が指摘するように、同じ仕事であっても、都市によって賃金は変わり、またスキルや経験がどの程度評価されるかも、それぞれの都市の左右されます。

高収入都市への移住は、一見すると大きな経済的メリットがあるように思えます。しかし、それが本当に得になるかどうかは、移住に伴うコストや生活の質を考慮した上で判断が必要です。都市では平均賃金が高いということは、同時に生活コストも上がってしまう場合が多く、結果的に所得が増えない、もしくは減少するリスクもあります。

9.よくある質問(FAQ)

本書を読んでいくと、都市に住んだ方が良いのか?その選択がキャリアや年収に与える影響について、疑問を抱きます。本セクションでは、これらの偈文や質問に対して答えていきます。

Q1: 高収入都市に住めば年収は上がるのか?

都市に住むことで、年収が上がる可能性はあります。ですが、都市の平均年収が高い背景には、高スキルを持つ労働者や、競争の激しい労働市場があることを忘れてはなりません。そのため、自身のスキルセットがその都市の労働市場で求められていない場合、収入アップが実現しない可能性があります。

Q2: 都市に住むことのデメリットは?

都市生活にメリットがあるように、デメリットも無視できません。最大のデメリットは生活コストの高さです。家賃や食費、交通費が大きな負担となり、長期的に見ると資産形成が難しくなることがあります。また、都市生活は時間の消費が激しいという、デメリットもあります。通勤に時間を要することが多く、時間が減ることで、仕事と生活のバランスを保つのが難しくなるケースもあります。

Q3: 知識産業都市以外で成功する方法は?

知識産業都市以外でも成功するためには、自分のスキルや経験を活かせる市場を見つけることです。製造業や農業、観光業などの産業が中心の都市では、これらの分野に特化したスキルが重視されるからです。さらに、デジタルツールやリモートワークを使えば、物理的な場所に縛られずに、世界中のクライアントにもアプローチできます。これにより、地方都市に住みながらも、仕事を受けることができるため、生活コストを抑えつつ収入を増やすという戦略も取れます。

あくまで、自分の目標や価値観に合ったライフスタイルを選ぶことが重要で、都市のタイプや産業構造が違っても、自分のスキルと目標に合った環境で付加価値を発揮することが、長期的な結果に繋がります。

無料eBooK:「Googleが選ぶ21世紀の名著100選」
どんな時代も超越して生きる指南書

無料eBooK: 「Googleが選ぶ20世紀の名著100選」

私たちのコンセプトを探求するための「Googleが選ぶ21世紀の名著100選」という無料EBooKを用意しました。1000年オーダーで生きるあなたがさらに、これらの名著によって新たな知識を手に入れ、人生のステージを上げるためのプロダクトをお届けします。

このEBooKでは、

  • 人生を超イージーモードに
  • 他人より未来を先取り
  • 富(Rich)(資産)を生み出す価値創造力

これらを得られる100冊をまとめました。

様々なジャンル(翻訳本)を含む、抽象的で高いエネルギーの本を厳選しています。私たちの人生を難しくするのは、知識不足です。ですので、一次情報の体系化された書籍を自分の脳にインストールすればあっさりと問題解決の手助けをしてくれます。さらに、知識が多いほど夢が叶う確率と、引き寄せの法則を実現できます。

ぜひ、あなたの夢の全てを叶えて下さい。

Download Now
Category: Book Review

About Yuuki F. Davis

白水社とみすず書房📚 コイーバ葉巻 loveee🥝 普段は経済のカラクリを解き明かしつつ、諜報と脳をメインに情報収集しています。絵画美術と感性が交差する世界。チェス盤上ではChesscom住人♟️Abstractな情報とモノ🫡

あなたの next move は?

Previous Post:複利で伸びる1つの習慣のアイキャッチ『複利で伸びる1つの習慣』の要約: 悪い習慣を断ち切り「続かない」を克服する仕組み
Next Post:『シンプルで合理的な人生設計』の要約: 無駄を省き、豊かに生きる幸福の資本論シンプルで合理的な人生設計のアイキャッチ

Reader Interactions

コメント

  1. 中村 健

    2024年12月28日 at 5:14 AM

    今までなんとなく地元に留まっていたけれど、目標に合った場所に移住したほうが、収入や生活の質を変えられそうですね。子供の教育や日常生活の環境も「どこに住むか」で変わるとは驚きです。

    返信
    • ユウキ・F・デービス

      2024年12月28日 at 5:20 AM

      いつもコメントありがとうございます!✨

      東京の持つ力や、環境がキャリアや生活の質に与える影響は大きいです🏙️🌟自分に合った場所を選ぶことが良いですね !🙌😊

      返信

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

Copyright © 2026 · Gestaltmaker · All Rights Reserved

Return to top