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『日本の経済安全保障』の要約: 高市早苗が語る“日本危機”を守る黄金律とその全貌

10:52 am Last Modified: 12月 15, 2024 by: Yuuki F. Davis
日本の経済安全保障のアイキャッチ

高市 早苗(たかいち さなえ)さんの著書、『日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律』の要約とBook Reviewをしていきます。本書は、自由民主党所属の衆議院議員である著者が、日本の問題と今後に起こりうる課題や提言をまとめた書籍になっています。

私たちにとって、増税や物価高の状況は“身近な問題”ですが、著者は「増税は必要ではなく、日本企業が持つ潜在的な力を発揮することで、世界と戦っていくことができる!」という主張の内容になっています。

たとえば、原油価格の高騰でガソリン代が上がり、家庭の支出が増えていく。外国産の食料品が輸入されず、スーパーの棚が寂しくなる。あるいは、日本が誇る技術が海外に流出し、産業の競争力が失われていってしまう。これらはすべて、私たち一人ひとりの生活に直結する「経済安全保障」の問題です。ただし、実はこのキーワード「経済安全保障」の意味を定義した法律は存在しません。本書では、法的定義はないが、『経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止すること』となっています。

本書で示す「黄金律」は、単なる経済政策ではなく、エネルギー、技術、さらにはデータ保護やサプライチェーンの強化に至るまで、幅広い分野での包括的な戦略を意味しています。そして、理想を語るだけでなく、現実の課題に向き合い、具体的な解決策を示す内容になっています。

それらはエネルギーや半導体、サプライチェーン問題など「日本が多くのことを他国に依存し続ける未来に、果たして安定や安心はあるのか?」というものです。その問いを解決するには、明確なビジョンと具体的な行動計画が必要になってきます。その答えを知ることは、私たち自身がこれからどう行動すべきかを考えるヒントです。

エネルギーの自立を見たとき、日本電力の発電構成の約40%、都市ガスの燃料のほぼ全量(2020年で92%)をLNG(液化天然ガス)に依存しています。もし、LNGの供給が滞った場合は、私たちの生活や経済活動に甚大な影響を及ぼしかねません。しかしLNGは、その性質から、石油のように長期間タンクを用いて備蓄することは困難。2021年の天然ガスの海外依存度は、97.1%(ごく一部を国内で産出)。2022年時点では、オーストラリアが42.7%、マレーシアが16.7%、ロシア9.5%ですが、ウクライナとの戦争でロシアからの輸入は困難になっています。

また、AIや次世代技術の保護については、日本がどれほど危うい立場にあるのかを痛感させられます。私たちが「安全だ」と思い込んでいる社会の裏で、日本の多くの技術や情報が流出し、他国に利用されている現実があります。

この本が特筆すべき点は、ただ問題を指摘するだけで終わらないことです。それぞれの課題に対して、どのようにしていけばいいのか、解決策・提言がしっかりと提案されています。政府や企業が今後何をしていくべきなのか、そして私たち個人がどう判断、考えていくべきかというものです。

Contents

  • 1.『日本の経済安全保障』の概要
  • 2.経済安全保障とは何か?
  • 3.経済安全保障を実現する「黄金律」とは
  • 4.日本の安定を支える「特定重要物資」
  • 5.「K Program」:日本が進むべき道
  • 6.外国法制度(国家情報法)のリスクと影響
  • 7.今後の課題と新たな挑戦
  • 8.『日本の経済安全保障』を読んだ感想
  • 9.まとめ:経済安全保障の未来を考える

1.『日本の経済安全保障』の概要

日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律のブックカバー

  • 日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律
  • 著者: 高市 早苗
  • 発売日: 2024/7/8
  • 出版社: 飛鳥新社
  • 価格: 1,980円
BUY NOW

本書のテーマと目的

本書の『日本の経済安全保障』は、経済と安全保障を一体化させた考え方(黄金律)を基盤に、日本が直面するリスクや国内の脆弱性に対処するための具体策や提示する書籍になっています。テーマは、エネルギー、技術、データなど多岐にわたる安全保障の強化を通じて、国家の独立性を守りながら国民生活の安定を確保することにあります。この目的は、経済と安全保障を通じて日本を強化し、持続可能な成長と国際的な信頼を示すことにあります。

著者・高市早苗氏について

Sanae Takaichi 20190617.jpg
Photo by: 内閣府, CC BY 4.0, 出典

高市 早苗氏は、政治家の一人であり、自由民主党(自民党)に所属する衆議院議員です。1993年(平成5年)に初当選して以来、数十年にわたり日本の政治の中枢で活躍してきました。奈良県選出の議員としてスタート(定数5)から無所属で出馬し、得票数トップで初当選した彼女は、主に経済政策、安全保障、サイバーセキュリティ分野に精通しています。

政治家としての経歴と専門分野

高市氏は、総務大臣や経済産業副大臣を歴任し、総務大臣在任時には通信行政や地方自治体支援においてリーダーシップを発揮しました。また、彼女は女性初の総裁選出馬者としても知られ、その大胆かつ具体的な政策提言で注目を集めています。2024年9月には自民総裁選の決選投票に挑んでいます。政策形成においては現場重視の姿勢を貫き、データに基づいた実効性のある戦略を展開することを信条としています。

専門分野は、経済政策や安全保障が挙げられますが、特に「経済安全保障」に対する彼女の知見は国内外で評価されています。国際的な地政学的リスクや日本独自の課題を包括的に分析し、それに基づいた政策を提案する力を持っています。さらに、テクノロジー分野への理解を持ち、デジタル化やAI(人工知能)技術の推進にも積極的です。

彼女の政治キャリアは、政策を実行するための信念と具体的な行動力によって支えられており、本書の『日本の経済安全保障』でもその経験と専門知識が全面的に活かされています。

「黄金律」が意味するもの

本書の中心的なテーマ経済安全保障は、経済と安全保障を不可分のものとして捉え、両者を統合的に強化するための指針を指します。高市氏は、この主題(黄金律)を「経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止すること」と位置づけています。

「黄金律」という言葉自体が示すように、本書で提唱されるのは単なる理論だけではありません。それは現実の脅威に対処するための具体的な枠組みになります。高経済安全保障を通じて、国家の独立性と自立性を保つだけでなく、経済成長や国民の生活向上も同時に達成することを目指しています。エネルギー、技術、データなど、多岐にわたる分野で日本が直面するリスクを分析し、それに基づいた包括的な対策を提示しています。

2.経済安全保障とは何か?

経済安全保障とは何か?

日本の経済安全保障とは、経済基盤を強化し国際的なリスクや依存状態からの脱却を図ることで、国家の独立性と国民生活の安定を守っていくことです。エネルギー、技術、サイバー分野など、多岐にわたる課題に対応しつつ、国内の強化を通じて、インフラや社会の安定を支える「特定重要物資」(抗菌薬・肥料・半導体)などの危機に強い経済構造を構築することを目的としています。この戦略は、私たちの日常生活と日本という国家の持続を同時に支えるために不可欠な要素になります。

経済安全保障の基本概念

経済安全保障の基本的な考え方には、経済的な手段を用いて国家の安全を確保し、国民生活を安定させるための包括的な政策を指しています。その核心にあるのは、経済がもはや単なる自国の成長や豊かになるやための道具だけではなく、国家の独立性や持続していく柱になっていることです。

近年の国際社会では、軍事的な衝突や外交的な対立だけでなく、経済を武器として利用する新しい形の脅威が台頭しています。たとえば、エネルギー資源の供給停止や、特定の製品や技術の輸出制限を通じて他国に圧力をかける行為は、これらの代表例です。こうした状況下で、国家が持続的に発展を遂げるためには、外部からの干渉を考えつつ、経済基盤を守っていくことが欠かせません。

日本の経済安全保障の取り組みは、エネルギーや技術、データといった幅広い分野で展開されています。ただその背景には、日本が多くの重要資源や技術を海外に依存しているという現実があるのも事実です。これにより、グローバルなサプライチェーンの混乱や地政学的リスクが発生した際、日本において生活していくなかで、何かしらの影響が及ぶ可能性が高くなります。経済安全保障は、こうしたリスクを未然に防ぎ、国家の主権と安定性を守るための戦略的な枠組みとして機能しています。

この概念は、日本だけでなく、国際社会全体で増しています。デジタル技術やAIの進化が進む現代において、経済安全保障は国を守るための防衛策だけでなく、国家の競争力を高める攻めの戦略でもあります。

国民生活と国家の安定を守るための戦略

経済安全保障の目的は、国家の存続を図るだけではありません。それは同時に、国民生活の安定を守るための基盤づくりでもあります。エネルギー供給の途絶や輸入製品の不足による価格高騰など、経済的な混乱が直接的に私たちの生活に影響を及ぼす可能性は高くなります。日本のように資源に乏しい国では、こうしたリスクは日常的な懸念すべきことです。

経済安全保障の戦略を考えていくと、これらのリスクを最小限に抑え、危機が発生した際にも安定した生活を送れるような体制を整えることに重点を置く必要があります。そのためには、国内の生産基盤を強化するとともに、他国との連携を通じてリスクを分散させる必要があります。また、技術革新やデータ保護を進めることで、未来を考慮しつつ他国との競争力を高めることも欠かせません。

経済安全保障は、国家の安全を守るための政策であると同時に、一人ひとりの生活を豊かで安定したものにするための包括的な戦略になります。

主要国の経済政策と日本の対応

もちろん、主要国はそれぞれ独自の経済政策を通じて、自国の安全保障と経済競争力を強化しています。アメリカでは、国内製造業の復活や半導体分野への大規模な投資を進めており、中国との技術競争で優位に立とうとしています。一方で、中国は国家主導でハイテク産業を育成し、国際的な経済圏を広げることで、資源や技術分野での影響力を拡大しています。EU諸国も、環境問題やデジタル化に注力し、国際競争力を高める政策を打ち出しています。

つまり、国内の技術力を高めたり、サプライチェーンを多様化することで、他国の政策に左右されない経済基盤を構築する必要があります。また、同盟国や貿易相手国との連携を強化し、戦略的パートナーシップを活用することで、リスク分散と国際的な地位の向上を図ることが重要になります

日本がこれらの課題に対応するためには、国内の政策を見直し、エネルギー、技術などの分野で自立性を高めると同時に、国際社会との協調を深めていく必要があります。

3.経済安全保障を実現する「黄金律」とは

経済安全保障を実現する「黄金律」とは

本書でいう「黄金律」は、単なる理論や概念のことでなく、実践可能な政策と行動のフレームワークです。つまり「黄金律」は、日本の経済安全保障を確立するための基本的な指針です。経済と安全保障を不可分のものとして捉え両方を大切にし、私たちの生活と国家の安定を同時に守るための具体的な戦略を示しています。この考え方は、多岐にわたる分野での脆弱性を克服し、国際社会の中での日本の自立性と信頼性を高めることを目指しています。

エネルギー供給の安定化やサイバーセキュリティの向上など、単なる目標やスローガンや短期的な利益追求ではなく、将来のリスクを見据えた戦略を構築することで、国家としての持続可能性を確保することが求められています。このため、科学技術の発展や次世代エネルギーの開発、国際規模でのリスク分散を提案しています。

この定義は、経済と安全保障が直結する現代において、日本が独自の立場を強化し、国際社会で確固たる地位を築くための羅針盤となっています。

日本が国際社会の一員として、安定した経済基盤を維持し発展させていくためには、多くの課題を克服する必要があります。そのなかでも、サプライチェーンの脆弱性やサイバー攻撃への対策、さらには日本特有の経済構造から生じる問題は、今後の政策において優先的に解決が求められる領域です。本章では、それらの課題を具体的に掘り下げ、その重要性と解決への道筋を見ています。

サプライチェーンの脆弱性

ここでは、サプライチェーンについて簡潔にまとめていきます。サプライチェーンは、製品やサービスが生産者から消費者に届くまでの一連の流れや仕組みのことです。この流れには、原材料の調達、生産、流通、販売といった流れがあります。

たとえば、スマートフォンを作るとします。この場合は、部品の製造から始まり、組み立て、輸送、最終的に店舗やオンラインで販売されるまでがサプライチェーンに当たります。企業や国にとって、サプライチェーンを効率的かつ安定的に維持することは、製品供給の確保やコスト削減の観点において重要です。また製造だけでなく、近年では地政学リスクや災害、パンデミックの影響で、その強靭性や安全性にも目を配る必要があります。

グローバル化が進展する中で、日本の経済は国際的なサプライチェーンに依存しています。半導体や医薬品といった重要物資の供給が滞ってしまうリスクは、コロナ禍やウクライナ危機において露呈しました。この脆弱性は、日本における生活や産業基盤に直接的な影響を及ぼすため、抜本的な見直しが急務になります。

特に注目しておきたいのが、国際的な物流の遮断や特定地域への依存による供給の偏りです。日本は多くの製品や原材料を中国やアメリカ、東南アジアから輸入していますが、地政学的な緊張や自然災害による影響でこれらの地域の供給が断たれると、日本国内の生産活動や消費に大きな打撃を与える可能性が高まります。また、代替供給源を確保しようとしても、高コストや長期間が伴うため、事前の戦略が不可欠です。

サイバー攻撃と法整備の急務

サプライチェーンの脆弱性の一環として、近年増加しているのがサイバー攻撃の脅威です。なかでも、物流システムや病院、工場のオペレーション、エネルギー供給網がサイバー攻撃の標的となるケースが増えています。これにより、製造ラインの停止や物流の混乱が発生し、経済全体に多大な影響を及ぼしています。

日本ではサイバーセキュリティに関する法整備が進んでいるものの、世界的な脅威の変化に対応しきれていない部分が指摘されています。たとえば、官民連携による早急な対応策の共有や、攻撃を未然に防ぐためのAI技術の導入が急務です。また、国際的なサイバー法の枠組みに入り、日本企業の利益を保護するための外交的努力も必要となっています。

石油パイプラインや警察・消防まで被害に

さらに、サイバー攻撃はエネルギーインフラや公共機関にも及ぶ可能性があります。実際、海外では石油パイプラインがランサムウェア攻撃を受け、数日間にわたり供給が停止した事例があります。このような事態が日本で発生すれば、単なる経済的損失にとどまらず、社会全体の安全保障にも悪影響を及ぼします。

また、警察や消防といった緊急対応機関のシステムがサイバー攻撃の対象となるケースも想定されています。これにより、緊急時の対応が遅れるだけでなく、生命や財産が直接的な危機にさらされる恐れがあります。日本政府はこうしたシナリオを見据えた防御策を早急に講じる必要があります。

エネルギー依存問題

日本はエネルギー資源の大部分を海外に依存しており、この構造的な問題が国家の安全保障を脅かす要因となっています。特に、原油や天然ガスなどの輸入先は中東やロシアに集中しており、地政学的な不安定性が供給リスクを高めています。中東での紛争やロシア制裁の影響は、エネルギー価格の高騰や供給不足を引き起こし、日本経済全体に影響を及ぼします。

さらに、再生可能エネルギーの普及が進む一方で、その導入には時間がかかり、現時点では化石燃料の依存から完全に脱却することは困難です。このような状況下で、日本がエネルギー自給率を向上させるためには、再生可能エネルギーの拡大に加え、原子力発電の安全性を確保した上での再活用や、エネルギー効率化技術の開発が求められています。

4.日本の安定を支える「特定重要物資」

日本の安定を支える「特定重要物資」

「特定重要物資」とは、国家や国民の安全を確保し、社会の安定的な運営を支えるために欠かせない物資を指します。これらの物資は、供給不足や輸入の途絶によるリスクが高いため、国家としてその確保や安定供給を強化する必要があります。本書では、日本が直面する経済安全保障の中で、特定重要物資の重要性が強調されています。これらの物資は、国際的な地政学リスクや自然災害に対応するため、これら物資の供給網の強化と基盤を整えなければなりません。

抗菌性物質製剤(抗菌薬)

日本の感染症対策の要である抗菌薬は、製品化工程こそ国内で行われているものの、その原材料や原薬の供給は中国に大きく依存しています。特に、注射用抗菌薬の85%以上を占めるβラクタム系抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系)は、採算性の問題から原薬をほぼ中国から調達しているのが現状です。この高い海外依存は、供給体制の脆弱さを露呈させています。

この依存がなぜ危険なのかというと、2019年、中国で製造トラブルが発生し、原材料の供給が途絶えました。この結果、「セファゾリン」というβラクタム系抗菌薬が欠品し、一部の医療機関では手術を延期せざるを得ない状況に陥りました。供給が再開され、正常化するまでには約1年を要し、医療現場に影響を及ぼしました。抗菌薬は感染症対策において不可欠であり、その安定供給は医療体制を維持する上でも重要な課題になっています。しかし、日本国内の製造基盤はまだまだ脆弱であり、原材料の国内生産や備蓄体制を急ぐことが急務なっています。

2024年5月末時点では、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)が主導する認定事業が2件進行中です。この事業では、国内で抗菌薬の原材料や原薬を生産し、2030年までに国内需要を100%賄える生産設備を整備することを目指しています。さらに、原薬の備蓄体制の強化も計画されており、パンデミックのような未曾有の事態にも対応可能な基盤の構築を進めています。

今後、国内生産体制を確立し、研究開発を促進することで、抗菌薬の供給安定化と新薬創出を実現していく必要があります。これにより、海外依存をなるべく減らし、日本の医療体制の強靭化を図ることが期待されています。

肥料

肥料は、日本の農業生産を支える基盤として、食料安全保障に直結する重要物資です。肥料が供給が途絶してしまうと、農作物の収量の維持が困難となり食糧需給率も下がってしまいます。しかし肥料については、多くは海外から輸入されており、リン鉱石やカリウムの供給が一部の国々に依存している現状があります。さらに、地政学的な対立や国際価格の高騰により、供給が不安定化するリスクが高まっています。

海外依存度の高い肥料原料として、

  • 尿素: 日本は尿素の供給の約94%を海外に依存しており、主な輸入先はマレーシア(77%)、中国(12%)、サウジアラビア(3%)
  • リン酸アンモニウム: ほぼ100%を海外からの輸入に頼っており、その大半を中国(62%)、モロッコ(16%)、米国(10%)から調達
  • 塩化カリウム: 塩化カリウムもほぼ完全に輸入に依存しており、主な供給国はカナダ(70%)、イスラエル(7%)、ドイツ(3%)。しかし、ウクライナ情勢により、ロシアやベラルーシからの調達が困難となり、供給の不安定化が進んでいる。

このように、肥料原料の多くを海外に依存している状況を改善するため、政府が輸入代替と備蓄に取り組んでいます。たとえば、2024年5月末までに、肥料供給の安定化を目的とした7件の事業が認定され、一般財団法人肥料経済研究所がこれを支援しています。そのなかでも、輸入先が限られる「リン酸アンモニウム」や「塩化カリウム」の備蓄と安定供給が課題とされています。目標は、国内需要の3カ月分に相当する肥料原料を常時保有し、供給不足時でも国内生産を継続できる体制を構築することです。

永久磁石(ネオジム磁石)

永久磁石(ネオジム磁石)は、自動車や風力発電、電子機器、家電など、多くの分野で使用されるモーターの性能を左右する部品になっています。省エネ性能に優れる永久磁石モーターは、電動車などの製造に不可欠であり、これが供給できなければ国内の産業活動に影響を及ぼします。

主な問題として、原材料であるレアアースの多くを中国に依存していることが挙げられます。たとえば、2020年時点で「ネオジム」の91%、「ジスプロシウム」のほぼ100%が中国のシェアを占めています。さらに、過去には供給遅延が原因で生産調整を余儀なくされたこともあり、安定した供給体制の確立を急ぐ必要があります。また、国内で回収される永久磁石のリサイクルが進んでいないことも課題です。

ネオジム磁石そのものの生産についても、日本の世界市場シェアは15%で、中国の84%に大きく引き離されています。ただし、日本は高性能磁石の製造能力で強みを持っています。この優位性を活かしつつ、国内の生産能力を拡大し、国際競争力を強化できればビジネスチャンスになります。

今後の目標としては、リサイクル技術を進めつつ、重希土フリー磁石(希土類(レアアース)を使用せずに作られた磁石)の開発を進めていくことが挙げられます。これにより、永久磁石の安定供給を保ちつつ、外部からの依存を減らすことができます。2024年5月末までには、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が支援する3件の事業が認定されています。この取り組みによって、省ネオジム磁石((Nd)の使用量を削減した磁石)の量産化の開発や量産の整備をしたりと、ネオジム磁石およびサマリウムコバルト磁石の生産の拡充、研磨加工を必要としない重希土フリー磁石の生産能力向上を目指しています。

半導体

半導体は、私たちの日常に大きく関わっている物資です。現在は、あらゆる電子機器に使われており、生活や産業に不可欠な基盤になっています。今後も加速していくデジタル社会やグリーン社会を支える基盤として、その重要性がますます高まっています。世界的に需要が急増しており、自動車の減産や医療機器不足など、供給不足の影響が生活や産業に及んでいます。

そもそも半導体は、日本にとって強みのある分野でした。かつて世界市場の50%以上を占めていましたが、現在では10%に低下しています。それでも、従来型半導体や製造装置、部素材では優位性を保っています。たとえば、パワー半導体では日本のシェアが約30%で、三菱電機や富士電機が主要企業になっています。アナログ半導体では、ソニーのCMOSイメージセンサが世界シェア44%を占め、トップの地位にあります。また、マイコン半導体ではルネサスが主導し、自動車向けで存在感を示しています。

このように全体のシェア率は下がったものの、優位性のあるシェアを持っている半導体もあります。今後も半導体の需要は高まっていることから、諸外国は半導体産業への巨額投資を進めています。アメリカは「CHIPSプラス法」に基づき、約527億ドルの資金提供と税額控除を実施しています。中国は基金を通じて巨大な投資を行い、欧州も「欧州半導体法」に基づき官民で430億ユーロを投じています。日本も支援策を急がなければ外部依存がさらに進む可能性があり、国内供給体制の整備が経済安全保障上の課題となっています。

また、半導体原料にも注意をしていく必要があり、いまは多くを海外に依存していることも課題です。たとえば、フッ素(中国99%)、黄リン(ベトナム98%)など、他国に依存する原料が多く、地政学リスクが供給の安定性を脅かしています。

日本政府は、「5G促進法」や「経済安全保障推進法」に基づき、先端ロジック・メモリ半導体の生産施設整備や従来型半導体の製造能力強化を進めています。2024年5月末時点で認定された支援事業は18件にのぼり、これらの事業を通じて国内生産基盤の整備が進んでいます。対象には、マイコン、次世代パッケージ基板、パワー半導体用ウエハなどが含まれます。また、ネオンやクリプトンなどの原料生産基盤の増強、黄リンのリサイクル技術の確立、ヘリウムの備蓄体制の整備も計画されています。

5.「K Program」:日本が進むべき道

「K Program」:日本が進むべき道

「K Program」は、内閣府が主導する日本の経済安全保障を進めていくための、いわば国家プロジェクトです。日本が直面するさまざまな課題、技術の流出や国際競争に対抗するために設計された包括的な政策になります。このプログラムは、先端技術(海洋、宇宙・航空、領域横断・サイバー空間など)の研究開発や産業基盤を強め、そして国際的なパートナーシップの構築を中心に展開されています。

政府が資金を拠出することで、エネルギーや情報技術といった分野への投資を優先し、日本が経済的にも安全保障的にも優位に立つことを目指しています。

日本のハイブリッドエンジン技術とドローン開発

「K Program」の考え方を簡潔にまとめると、未来志向を前提にした技術戦略プロジェクトになります。たとえば、ドローンの開発において、飛行距離と最大積載量(ペイロード)の両立は解決すべき課題になっています。現在の日本製ドローンは、固定翼型であっても最長飛行時間が1~1.5時間、搭載可能重量が5kg以下に限られています。また、風雨に対応できる耐候性も不足しているため、実用面での改善が求められています。

こういった課題に対し、政府は「K Program」の支援対象に、災害や緊急時に長時間・長距離飛行が可能な小型無人機技術を含めました。2023年5月に採択されたこの研究は、2024年1月の能登半島地震で課題を再確認したことで注目を集めています。この地震では、陸路が寸断された地域に迅速に物資を届けることができず、ドローンによる救援物資の運搬能力が求められました。

これらの研究成果が実用化されれば、地震など起きた場所でも救援物資を搭載して、風雨の中でも迅速かつ安定的に現地へ届けることが可能になります。また、長時間の飛行が可能な無人機は、捜索救助活動でもその役割果たすことができます。

さらに、「長距離物資輸送用無人航空機技術」も「K Program」で支援対象となり、2024年5月に採択が公表されました。この技術は、長距離飛行と高ペイロード(重量物)運搬を可能とするVTOL型ドローンの開発を目指しています。このドローンは垂直離着陸機能と高速巡航能力を持っており、海上や離島間の物資輸送、洋上設備や山岳地域での救助活動に利用されることが想定されています。

自然災害においてはもちろんですが、戦争などの有事において、情報収集や物資の運搬などで役割を果たします。しかし、現在のドローン市場では、中国がマルチコプター(複数の回転翼ドローン)技術を中心に寡占状態を築いており、日本の技術は遅れてしまっています。このまま中国が寡占する状況が続けば、外国が高度なドローン技術を独占し、日本がその影響を受けるリスクが高まっていきます。

他にも海外では、エンジン駆動の固定翼型無人機が数十時間の飛行や1,000kgのペイロードを可能にしていますが、高額かつ大型のため民間利用には向いていません。一方、日本は自動車やバイクで培った高性能なエンジン技術を有しており、ハイブリッドエンジンを活用することで、効率的で実用的な無人機を開発するポテンシャルがあります。この技術を用いれば、離島間や広域インフラ設備の点検、海上や山岳地域での救助活動など、多くの場所での利用が期待できます。

ディスインフォメーション(偽情報)の課題

スマートフォンで簡単に情報に触れられるようになり、SNSを通じた個人の情報発信が日常化するなかで、「ディスインフォメーション(偽情報)」も問題となっています。もはや一般の人は、それが真実かどうかよりも自分が目にしたものを信じている状況です。ディスインフォメーションが特に心配されるのは、災害や戦争などの緊急時です。この場合は、人命に関わる被害を引き起こしたり、経済や株価などの変動やサプライチェーンの停止といった影響が及びます。このため、偽情報をなるべく早く見つけ、その影響を見極める技術が高まっています。

日本では、企業と研究機関の両者で「SNSのテキストや音声データの感情分析」や「AI生成のフェイク映像を判別する技術」の開発を進めています。また、ファクトチェックを普及させる民間団体も活動しています。一方、米国ではプラットフォーマーや国防総省が、写真や映像の信頼性スコアを算出するソフトやオンライン記事の信頼性を評価する技術を研究しています。英国やフランス、イスラエルでは、AIを活用した画像のファクトチェックを提供するアプリが登場するなど、スタートアップによる取り組みも活発です。

これらの技術は文書や画像など個別のデータに焦点を当てており、SNSやニュースの信頼性を統合的に分析する技術はまだ存在していません。こうした背景から、日本では「偽情報分析技術」を「K Program」の技術として位置づけ、2024年5月時点で公募審査が進められています。これにより、偽情報の検知や評価に役立つ技術の特定と、システム化に向けた研究が行われる予定です。

これらの研究開発が進むことで、情報加工の有無や事実の歪曲を科学的に分析し、SNSやインターネット上の偽情報に対抗するためのツールが整備されると期待されています。また、政府や報道機関が真実の情報を発信する際の支援技術としても活用される見込みです。このような技術の実装は、社会全体の情報の信頼性を向上させる一歩となるはずです。

宇宙スペースデブリ除去と衛星寿命延長

これから、宇宙についての課題やテーマは大きくなるのは間違いありません。宇宙システムは、通信、測位、気象観測、情報収集など現代社会のあらゆる活動を支える重要なインフラとなっています。しかし、スペースデブリ(宇宙ゴミ)が増えることで、宇宙空間の安全を脅かしています。デブリが高速で飛行する宇宙環境では、国際宇宙ステーション(ISS)や人工衛星への衝突リスクが高まり、日本だけでなく各国の安全保障上の課題となっています。

日本は、宇宙空間の持続的利用を確保するため、スペースデブリ除去技術に取り組んでいます。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は民間企業アストロスケールと協力し、「商業デブリ除去実証(CRD2)プログラム」を実施中です。このプロジェクトでは、寿命を終えた衛星やロケット上段といった大型デブリを対象に、接近・捕獲技術や動作追尾技術の実証を行っています。そして、2026年度以降には、世界初となる大型デブリ除去実証を行う衛星の打ち上げを計画しています。

現在、衛星の寿命は燃料量や機器故障に制約されています。燃料補給ができない従来の技術のままだと、寿命を迎えた衛星は廃棄され、デブリとして宇宙空間に残るリスクがありました。JAXAは、ランデブー・ドッキング技術や宇宙用ロボット技術を使って、衛星の寿命を延ばす燃料補給技術の開発を進めています。また、文部科学省は、Small Business Innovation Research(SBIR)のフェーズ3基金を活用し、スペースデブリ低減に必要な技術開発を支援しています。

これらの取り組みの一環として、政府は「K Program」に基づき、協力衛星を対象とした燃料補給技術を支援しています。さらに、非協力衛星への拡大を目指し、姿勢制御ができない衛星にも対応可能な技術開発を進めています。これにより、宇宙空間の安全性向上と経済的な持続可能性が実現される見通しです。

宇宙は国際的な競争の場でありながら、地球全体の未来を支える資源になります。日本の技術力と官民連携が、宇宙空間の安全と持続可能な利用を開く鍵となっています。

有事における日本の止血製剤

医薬品、とりわけ止血製剤は、感染症の流行や自然災害など、突発的な有事に備える上で重要なのは間違いありません。重度の外傷を負った被災者を救うための医療体制を守っていいくには、ふだんから供給の準備を整えておくことが求められます。現在、日本で利用されている止血製剤は、ヒトの血液から精製されたものです。需要と供給のバランスはなんとか保っていますが、製品の寿命が採血から4日間と短く、20~24度の温度の下で保管が必要です。このため、止血製剤は計画的に使用される「待機用途」に決まっており、突発的な事態に対応できるとは言えません。

日本ではアカデミアを中心に人工血液製剤の研究が進められています。血小板の凝集を促進する凝集剤の開発に成功し、動物実験で安全性が確認されています。海外でも米国や韓国が国家プロジェクトとして人工血液製剤の開発を進めていますが、人体への安全性を証明するにはまだ至っていません。

この課題を解決するため、日本は「有事に備えた止血製剤製造技術」を「K Program」の支援対象に指定しました。開発の中心は、「人工血小板」と「血小板凝集剤」です。これらは出血部位で血小板を活性化・凝集させ、凝固因子によって血栓を形成・固定化する仕組みです。この技術が実現すれば、血液や血液型に依存せず、輸血が可能な止血製剤を現地で連続的に製造できるようになります。

6.外国法制度(国家情報法)のリスクと影響

日本が直面する経済安全保障の課題の一つは、外国法制度がもたらす潜在的リスクです。国際的なビジネス環境において、日本企業や研究機関が外国の法制度の影響を受けることは避けられません。本章では、中国の「国家情報法」を例に挙げ、リスクの具体像と対応策を探っていきます。

中国の国家情報法について

中国の「国家情報法」は、2017年に施行され、中国国内外で活動する個人や企業に対し、国家情報活動への協力を義務付ける法律になります。この法は、中国政府が必要と判断した場合、外国企業や個人に対しても情報提供を求めることが可能であり、拒否すれば罰則になる可能性があります。これにより、日本企業が中国市場で事業を展開する場合は、知的財産や技術情報が中国政府に流出するリスクが高まります。

国家情報法の第7条で、「いかなる組織及び公民も、国家情報工作を法に基づき支持、協助、協力し、知り得た国家情報工作の秘密を守らなければならない」「国家は、国家情報工作を支持、協助、協力した個人と組織に対して、保護を与える」と規定しています。

さらに、この法の影響は単に中国国内にとどまらず、他国の市場における競争環境にも波及します。たとえば、中国企業が同法の下で日本企業の技術を不当に使った場合、公平な競争が阻害される恐れがあります。また、この法律が外国の機密情報を活用するために使われれば、日本の国家安全保障にも影響を及ぼすのは安易に想像できます。

日本企業が直面する技術とリスク

日本企業が最も懸念すべきなのは、情報漏洩や技術流出のリスクです。中国の国家情報法に従わざるを得ない従業員が、意図せずに日本企業の内部データや機密技術を中国政府に提供する可能性は十分にあります。このような状況は、ハイテク産業や医療分野など、国際的に見ても重要な分野です。

たとえば、「技術流出」については、日本の企業や大学に所属している中国人従業員や研究者が行っている、企業秘密や研究成果の無断持ち出しが確認されています。企業のインターンシップに参加している留学生、技術者、企業幹部周辺の従業員による持ち出しです。それらの方法は、秘密文書のコピー、サンプルの持ち出し、スマートフォンへのダウンロード、USBメモリへのコピー、スクリーンショットでの撮影、メールアドレスへの送信などがあります。

また、データセンターやクラウドサービスの利用においても、法的な枠組みの中で日本企業のデータが中国政府にアクセスされる危険性が指摘されています。このため、企業の機密データや技術が不正に利用されることによる経済的損失だけでなく、取引先や顧客との信頼関係にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

さらに、中国市場から撤退する場合にも、法的なリスクが生じることがあります。多額の賠償金が発生したり、資産の没収を強いられる可能性があるため、進出時点で慎重なリスクや正しい知識の法律が求められます。

リスク軽減のための提言

日本企業や個人が外国法制度の影響を抑えるためには、対策と戦略をしなくてはなりません。まず、中国市場での事業展開をしていく場合、法的リスクに精通した専門家の助言を受け、現地法規制への対応策を把握しておく必要があります。具体的には、機密情報の管理方法を見直したり、アクセス権限を厳格に制限することです。

次に、日本国内でのデータセンター利用や技術開発を重視し、海外への情報流出を最小限に抑える仕組みを整えておく必要があります。たとえば、企業が保有する技術やデータの一部を国内に留める「データ主権」確保をするなどです。また、クラウドサービスを使うときは、安全性の高いプロバイダーを選んで、データ保護の契約を結ぶなどします。

さらに、政府と企業が連携し、外国法制度のリスクについての周知活動を進めることです。中小企業や新興企業に対して、潜在的なリスクを見直させ、具体的な対策を提供することが必要です。政府が積極的に関与することで、企業単体では対処しきれないリスクにも効果的に対応できます。

最終的には、日本全体・個人として、国際的な競争力を損なわないための基盤を整えなければなりません。このような取り組みを通じて、外国法制度のリスクを回避しつつ、日本の経済安全保障をさらに強化することができます。

7.今後の課題と新たな挑戦

日本が経済安全保障を強化しつつ、次々と浮上する新たな課題や問題にどう対応するかが、今後の成否を分ける鍵となっています。本章では、産業界や研究機関、医療分野における課題を具体的に掘り下げ、今後の対策の方向性を見ていきます。

中国籍研究員と外国人研究員を排除しない理由

2023年6月、国家の研究機関である産業技術総合研究所(産総研)の中国籍研究員が、不正な情報流出の疑いで逮捕されるという事件がありました。この事件は、2018年4月に営業秘密に当たる「フッ素化合物の合成技術情報の研究データ」を中国にメールで送ったものです。

こういった事件もあり、経済安全保障の観点から外国人研究員の受け入れに慎重な目を向けるきっかけとなりました。しかし、日本が技術革新を維持し、国際的な競争力を確保するためには、外国人研究者の排除だけに注力するのでなく、人員の管理と透明性が最も重要になります。多様な人材がもたらす新しい視点や知見は、日本の技術を世界水準に引き上げる原動力になるためです。

研究機関や企業で「不正競争防止法」を

研究機関や企業における大事な技術流出を防ぐため、「不正競争防止法」(事業者間の公正な競争を確保し、不正競争を防止することを目的とした法律)の活用が求められています。具体的には、企業秘密の管理体制を強化し、従業員への教育を通じて情報の適切な取り扱いを徹底させることです。さらに、研究開発における「研究インテグリティ」を確立することが重要です。「研究インテグリティ」とは、研究者が倫理的かつ正確な方法で研究を行うことで、それらの徹底が信頼性の高い技術の土台になります。

国立大学や基幹インフラ制度(医療DX)の改善

日本の国立大学においては、不正防止策や情報管理体制の見直しが進み、改善されつつあります。これに加え、「基幹インフラ制度」の対象に「医療」を加える動きが注目されています。これは、病院がランサムウェアやサイバー攻撃によって電子カルテが暗号化されるケースなどがあるためです。また、人工呼吸器、麻酔器、薬物注入ポンプなど生命に関わる多数の医療機器について遠隔操作が可能だという脆弱性が明らかになっています。

サイバー攻撃にさらされた病院は、完全復旧まで2カ月以上をかかるケースが発生しており、医療分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とセキュリティが急務です。

医療DXは、遠隔医療システムや電子カルテの導入、AI診断の活用といった形で進展しています。しかし、これらのシステムもサイバー攻撃のリスクを伴っています。遠隔医療の分野では、患者データの安全性を確保するためのサイバーセキュリティ対策が重要です。医療や病院といった人の命が係わる場合は、攻撃が発生してから法改正を検討するのではなく、先手を打った対応策が求められています。

中国企業のデータセンター投資と外為法の規制

近年、中国企業が日本国内にデータセンターを設立しようとする動きが見られますが、この投資には安全保障上の懸念がつきまといます。データセンターは膨大な情報が集約される場所であり、情報流出や悪用のリスクが高いため、『外為法』による規制の厳格化が検討されています。

データセンターの建設には、透明性のある運営とそれに伴う環境が必要です。政府は、国際的な信頼を維持しつつ、国内の重要データを守るための法制度を強化していく必要があります。守るべき情報を正しく管理することで、経済安全保障の基盤をさらに強くしていくことができます。

本書にあるように、日本が経済安全保障を実現していくには、個別の課題に対して迅速かつ、包括的な対応が求められます。産業、研究、医療、データ管理といった各分野での取組みを強化し、国際社会での競争力と安全性を確保していくことが、これからの国家の安定と発展に繋がっていきます。

サイバー攻撃と法整備

先ほどの、「国立大学や基幹インフラ制度(医療DX)の改善」にあるように、サイバー攻撃への対応は、現行の基幹インフラでは「事案が発生してから対象を追加する」という後手の対応が問題視されています。このアプローチは、予見するのが難しいことから産業への負担を増大させるとの指摘や、ボトムアップではなくトップダウンでの包括的な対応が必要ではないかという意見が出されています。

2024年1月30日に開催された「経済安全保障推進会議」では、労働大臣が医療分野に関する見解を示しています。医療機関でシステム障害が発生した場合、現状では影響が個別の施設内にとどまり、周辺の医療機関との連携で対応可能であるため、現時点では「経済安全保障推進法」の対象としない方向で検討されています。ただし、これから進展が見込まれる医療DX(デジタルトランスフォーメーション)に伴い、セキュリティ対策の強化や地域医療体制への影響を考慮しながら、引き続き精査が必要とされました。

これを受け、医療機関をサイバー攻撃から守るための取り組みは、医療DX関連システムも含めて課題とされており、今後さらなる対策をしていくはずです。なぜならこの課題には、迅速な対応が必要とされているからです。

8.『日本の経済安全保障』を読んだ感想

📘『日本の経済安全保障』を読了
🔍 サプライチェーン、特定重要物資、医療DX…今の日本に必要な視点がぎっしり詰まった一冊。
🇯🇵 高市早苗さんの「黄金律」で描く未来像🙌
🌍 経済と安全保障がつながる時代、考えるべき課題多い。
💡国民全体で「守る力」とは!#日本の経済安全保障 #高市早苗 pic.twitter.com/ezzKLyiSy8

— ユウキ・F・デービス (@yuukifdavis) December 15, 2024

本書の『日本の経済安全保障』は、日本の抱える課題・問題に焦点を当てた政策提言書として、著者の知見と具体性が評価されています。政府関係者やビジネスリーダーからは新たな政策立案として注目される一方で、専門家や読者からはさらなる議論を求める声もあるでしょう。

今回のテーマである、経済安全保障というのは、専門的で難解になりがちですが、著者は身近な例を用いながら、初心者にも理解しやすい形で解説しています。例えば、サプライチェーンの脆弱性を日常的な商品の供給問題として捉えるのは、政治に興味のない人にも関心を持たれるでしょう。

さらに、エネルギー問題と技術。再生可能エネルギーや輸入依存の見直し、技術の保護について。また、AIや次世代技術の開発がこれからの日本を左右する中で、どれほど多くの国が先を走っているのかを知ると、胸がざわつくかもしれません。中国という国が持つ、外国法制度(国家情報法)は使い方によっては、『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』にもなりうるためです。

私たちは、技術を支える育成にどのように取り組んでいくべきか。データ主権を守る意識を持つには何をしていくべきか。本書の問いは、決して政府や企業だけではありません。私たち個人が考えなければならない問題です。

もちろん、この本が伝えたいのは「危機感」だけではありません。そこには希望もあります。全盛期ほどではないにしろ、パワー半導体の日本のシェアが約30%は、こんご日本が世界へ向けて提供する価値を先導できます。これらを守っていく政策提案、産学官の連携を強化するモデルは、単なる理想論というのでなく、すぐに取り組むべき行動計画として描かれています。

本書はどちらかというと、政治に関心のある人が読むべき内容にはなっていますが、ビジネス的に考えている人にとっては、今後伸びる産業や世界マーケットが求めているもの、ニーズはどういったものかを知れるのも本書の特徴です。

9.まとめ:経済安全保障の未来を考える

日本は、いくつもの課題に直面しています。高度な技術を持つ一方で、それを守る仕組みが十分ではありません。これらが他国に情報が流出すれば、産業技術総合研究所のようにデータが流出するだけでなく、私たちの生活に欠かせない技術や製品が危機にさらされるかもしれません。なので、国内の技術者を育成しつつ、国として知的財産を守る法整備が求められています。

もし本書のにある課題が克服され、経済安全保障が実現したとしたら、どんな日本が来るのでしょう。その答えは、安定と発展かもしれませんし、何もしなければ「スパイ天国」と呼ばれるように、重要な知識や情報が流出し、結果的に生活が悪化するかもしれません。たとえば、日本がエネルギーを自立的に供給できる国となれば、国際的な紛争に左右されることなく、電力も燃料も安定して供給できるでしょう。停電や価格高騰に怯えることのない毎日を手にすることもできす。

また、技術とデータの保護が強化されれば、日本は次世代の産業を牽引する国として成長できます。それは、これからの新しい仕事が生まれ、地域が活性化し、自身や誇りを持って暮らせる社会を意味します。それは、災害や世界情勢に左右されない強い日本の基盤となっていきます。

経済安全保障というテーマは、それぞれの課題が複雑で大きいため、身近には感じられないかもしれません。でも、本書を通して感じたのは、私たち一人ひとりの意識が、この国を左右する力になるということです。

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About Yuuki F. Davis

白水社とみすず書房📚 コイーバ葉巻 loveee🥝 普段は経済のカラクリを解き明かしつつ、諜報と脳をメインに情報収集しています。絵画美術と感性が交差する世界。チェス盤上ではChesscom住人♟️Abstractな情報とモノ🫡

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コメント

  1. 中村 健

    2024年12月18日 at 12:21 PM

    高市さんの『日本の経済安全保障』に興味はあったものの、具体的にどんな内容が書かれているのか分からず、購入を迷っていました。経済と安全保障がどのように結びついているのかが少し理解できました。

    返信
    • ユウキ・F・デービス

      2024年12月18日 at 12:25 PM

      コメントありがとうございます!記事を楽しんでいただけて嬉しいです📖✨本書を読まれることでさらに知識が得られると思うので、ぜひ挑戦してみてください🙌

      返信

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