本田 直之(ほんだ なおゆき)さんの著書「レバレッジ・リーディング」の要約とBook Reviewをしていきます。人にとって読書をする目的は、娯楽や実用的なことなどそれぞれですが、レバレッジ・リーディングでは投資としての読書を目的としています。投資としてリターンを考え読書をしていくので、娯楽や楽しみといった読書とは全く違う性質になっています。
ビジネス書と相性がよく、多読を用います。
「多読=投資」として考えていくので、株式投資や不動産、金融商品などと同じように読書を戦略を持って実践し、大きなリターンを得られるノウハウとして本を扱います。たとえ読んだ本がすぐに生かされなくても、金融商品の資産のように少しづつ自分に蓄積されて含み資産となり、自由な時間が増えて収入も上がっていくという流れになります。
まさに、てこの原理のように、少しの労力で大きなリターンを得られるようになるのがレバレッジ・リーディングの特徴といえます。どちらかといえば読書家が読む本というよりは、既存の読書法ではない(本に書き込みをしたり、付箋やドックイヤー)を多用するので、実用的で実践向きになっています。
Contents
1.レバレッジ・リーディングの概要
レバレッジ・リーディング
本田 直之
レバレッジコンサルティングCEO
東洋経済新報社
2006年12月発売
B6判・171頁
定価1,595円(本体1,450円)
2.1500円の本を15万円にする投資読書
レバレッジ・リーディングではビジネス書を中心に読んでいきます。その目的は単なる読書をするのではなく、投資としての読書なので、経済的な効果を生み出す、投資としての読書になります。
- 経営
- 営業
- マーケティング
- ファイナンス
- 起業
- 自己啓発
- 株式・不動産投資
などのように、読んで何かしらの行動をすれば自身にリターンが返ってくるような本を中心に選びます。このような本の値段を仮に1,500円とした時に、これを安いと考えるのか高いと考えるのかで、その後の自分に返ってくるリターンが決まってしまいます。たとえば、1500円をだして営業のノウハウ本を買って、本に書いてある何か一つを実行し、売り上げ1万円上がったのならばそれは大きなリターンになりますし、1万円と言わず10万円の利益をだすことだって可能です。
このように本を買ってその分以上のリターンを得るようにし、レバレッジ・リーディングでは100倍のレバレッジを目標にします。
1500円の書籍なら15万円分のリターンです。
ただし、多くを読んだからといって何もしなければただの読書家で終わってしまいますし、どんな形であれアウトプット(行動)が必要になってきます。最初から100倍のリターンを得ようと思っても難しいのでまずは、10倍といったところから目指すべきでしょう。
10倍のリターンを得られなかったとしてもその知識は累積効果によって、少しづつ膨らんで後に大きなリターンへと変わっていきます。投資と考えた時に、これほどまでに安く大きなリターンを得られる読書が、最強の投資というのは言わずもがなです。
3.成功したければ読書
読書をするというのは一般的な人にとっては特別なものになりつつあります。なぜなら、読書をしている人口というのは年々減ってきているためです。あなたの周りの人に「毎日読書をしているか?」と聞いてみてもほとんどの人は、していないか、雑誌を眺める程度というかもしれません。
それほどまで、本を読める人は減っています。
アメリカの成功しているビジネスパーソンは必ずといっていいほど読書をしていますし、それが収入に直結することを知っています。だからこそ、成功しているビジネスマンは多くの本を読みますし、「読書=最高の自己投資」というのを疑っていません。インターネットやSNSは簡単に情報を発信できますが、その信ぴょう性や信頼性は未だ本に及びません。
そして本を読まない人に限って「読む時間がない」と言います。
たしかに本を読む速度に差はあれど、本はある程度のまとまった時間がなければ一冊を読み切ることができません。ただし、この考え方は逆で「本を読まないからこそずっと忙しい」と言い換えることができます。なぜなら本を読んでその通りに実行すれば、自分が悩んでいることや困っていることを解決できる確率が高まるためです。
つまり、本を読むほど時間が増えて、自由度が上がっていきます。
4.投資の手法を本選びに応用
読書を投資行為と考えた時に、「どんな本を選ぶのか、何を読むのか」という選択も大きな投資活動の一つになります。株式投資や不動産で考えた時に、何も調べずに直感で購入を決めるというのはないはずです。時間をかけて企業や物件をリサーチし、投資するだけの価値があるかどうか検討をしてから、購入をします。
実際に株式投資をするなら、
- 投資目的の明確化
- 情報収集とスクリーニング
- 売買のタイミング
のように手順と方法を考えてから、実際に購入をしていきます。これをレバレッジ・リーディングに応用すると、
- 現在必要な本の選別
- 書評など参考に絞り込み
- ネットと本屋の使い分けで購入
というようになります。
今自分にとっての課題や悩んでいることを明確に、どんな本を読めばそれを解決できるのか、得られるものがあるのか選びます。さらに、書評や情報収集によってスクリーニングし、どんな本を購入すべきか絞っていきます。注文するのはインターネットでも構いませんが、一冊に絞り込めていない場合やジャンルで決めかねている場合は、インターネットよりも本屋の方が見つけやすく、選ぶのが安易になります。
5.1000円台の経験型の本を選ぶ
本がつまらなない、読書が習慣にならない理由に、自分にとって難しい本を選んでしまうということがあります。難しい本というのは「教養型」と言われるジャンルで論文を書籍化したものや、引用の多い本などの特徴があります。こういった本も役に立たないわけではありませんが、即座に結果やリターンを得られるか?と考えると、速攻性は少なくなってしまいます。
長期的に見れば教養型の本も読んでおくべきですが、レバレッジ・リーディングでは1000円台の著者の経験型の本を選びます。経験型というのは、著者が実際に体験したことや経験したことをまとめたノウハウになっており、読者が追体験できるような内容になっています。他人の成功にレバレッジをかけることができるので、どんな所を注意すればいいのか、何をすれば成功できるのかが分かっている、カンニングペーパーのようなものです。
6.レバレッジ・リーディングの読書の流れ
レバレッジ・リーディングでは一般の読書のように、最初から最後のページまで一語一句読んでいくようなことはしません。自分の得たいノウハウや知識を得るために読むのが目的なので、娯楽や楽しみといった読み方とは違うものになります。
レバレッジ・リーディングの読み方は、
- 本を読む目的の明確化
- 制限時間を設ける
- 全体を俯瞰する
- 読書開始
というような流れになります。まず最初にその本を読むことによって、何を得たいのかどんな情報を知りたいのか明確にしておきます。こうすることで、不要な文章を避けられ惰性で読んでしまうことを防ぐことができます。また、重要な所と読まなくていい部分の判断が瞬時にできるので、内容の吸収率も上がっていきます。一冊にかける時間は1~2時間で、「まえがき」「目次」「あとがき」をチェックし、本の内容の全体像を最初に把握しておきます。
現在の習慣に読書を加える
まとまった時間をとって読書をすると考えると億劫になってしまったり、いつまで経っても読み始められないという方も居るはずです。
読書は場所も、時間も自由です。
だからこそ読書よりもテレビを見てしまったり、インターネットが優先になってしまい、読む時間を確保できない方も居るかもしれません。そういった場合は、既に自分の持っている習慣に読書を加えることで解決できます。お風呂に本を持ち込んで読んでもいいですし、通勤で電車を使うならば通勤中に本を読むという選択もできます。読書だけの時間を取ろうとするよりも、現在の習慣に加えることで読書のハードルが下がり、読書習慣も身に付きます。
1~2時間で読み切る
忙しいビジネスマンが読書を習慣にしようと思ったら、何かしらの工夫をするしかありません。レバレッジ・リーディングでは一冊の読み始める前に「この本はどのくらいで読み切ろう」と決めてしまいます。読書をする前に時間を決めてしまうことで、余計な部分や無駄な部分を読まずに済むので、多くの本を読むのに向いています。
ただし、新しいジャンルに挑戦する時や、難解の本を読む際は1~2時間では足りないので、それ以上に時間を取る必要があります。あまり神経質になって時間に気を取られると、本来の本の内容が頭に入ってこないということになるので、タイマーをセットするなどして、気が散らないようにします。
本の重要な20%を抽出
時間制限をして本を読もうと思ったら、全てを読み切ることはできません。自分にとって重要ところは拾って、それ以外の部分は捨てることになります。パレートの法則にあるように本にとって重要なのは20%で残りの80%は読み飛ばしても構わないということになります。
本全体を俯瞰
本を読む目的を明確にし、制限時間を決めたら本全体を俯瞰していきます。著者のプロフィールや帯を眺めて、「まえがき」「目次」「あとがき」を読んで大枠のイメージを掴みます。このように全体を俯瞰して見ることで、本から得られる情報の吸収率が上がりますし、イメージも掴みやすくなります。
ダメ本は捨てる
多読をしていると必ずといっていいほど、自分に合わない本や目的と違った本を購入してしまうことがあります。これはどれだけスクリーニングしたとしても、ある程度は起こってしまいます。この時に、無理に読もうとするよりは、途中で止めてしまうか、さっとと切り替えて別の本に移ってしまう方が投資としての効率よくなります。1500円を投資したからといって、絶対に元を取ろうとすると時間が掛かってしまい、効率が悪くなってしまいます。
何度も繰り返しになりますが、レバレッジ・リーディングは読書ではなく投資活動というのを忘れないようにします。
本のストックは常に用意
本を読んでいると、「今の気分じゃない」「なんとなく気分が乗らない」という時があります。こういった気分の時に同じ本を読み続けていても、知識の吸収率が悪くなってしまいます。そんな時は、その本は置いて違う本を読むようにします。こうして気分が乗らない本のインターバルを置くことで、数日後読みたくなったり読み進められるようなことが起こります。
そのために本のストックは常に余裕があるように、なるべくジャンルも偏らせず、複数あるとその時の気分によって読みわけができます。
7.「単なる本」を「資産本」に変える
レバレッジ・リーディングでは本を読むというよりも、「本を使う」と言った方が正しいかもしれません。というのも、一般的に本を読むときはなるべくきれいに、読書をするのに対し、レバレッジ・リーディングは本を読みながら気になったところに線を引き、印を付け、ページを折ってドッグイアー(角の折り曲げ)など、本を自分仕様にしていきます。
こうすることで、「単なる読書本」から「収益を上げる資産本」へと変わっていきます。
あまり拘りすぎると長続きしませんし、面倒になってしまい投げやりになるので定規できれいに引いたりせずに、ざっと線を引くようにします。重用だと思ったポイントは自分が分かるような印を付け、ドックイヤーとして後で見返した時に、どこが重要だったのかすぐに分かるようにしておきます。
さらにページの余白に、読んでいて思いついたことやアイディアなど書き込みます。
人に見せたりするものではないので、字も綺麗に書く必要はありませんし、思ったまま自由に書き込みます。そういった意味では、レバレッジ・リーディングで読む本は人に借りたり図書館で借りたりはできません。なぜなら、一冊の本をぼろぼろになるまで使い込むためです。100倍の大きなリターンを得るために、一冊1,500円の投資はどんどんしていこうというのが、特徴です。
8.究極の本(レバレッジ本)を作る
多くの人にとって本というのは一回読めば終わりで、再読する本というのはかなり気に入った本か、保存しておきたい本に限ると思います。レバレッジ・リーディングでは読み終わった本を、復習して投資として活用するために、「究極の本(レバレッジ本)」というのを作成します。こういった読書後のフォローをすることで、読んで重要な部分を忘れても思い出せたり、行動に移すためのヒントになります。
なぜなら人はどれだけ覚えようと思っても忘れてしまうし、重要な箇所を再度読み返そうと思っても時間がかかります。
レバレッジメモを作るのは簡単で、重要だと思った所をまとめてコピーし、プリントアウトするだけです。これを時間が空いた時に何度も見返して、自分専用の資産本にしていきます。自分が読書をしていて重要だと思ったポイントがまとめられているので、本当にリターンが得られる部分だけを抽出しているといえます。
プリントアウトが面倒な場合はノートや手帳に書いてそれを見返すのもいいでしょう。(ノートや手帳すら持っていない場合は、アプリなどに保存しておくことで見返すのが安易になります。)メモが溜まってきたらテーマ別に編集をします。経営、マーケティング、起業、ファイナンス、株式投資、タイムマネジメント、心理学、健康、など自分が分かるように選別していきます。
こうやって作った究極の本はただ作って満足するのではなく、何度も何度も読み返すのが重要です。いつも持ち歩いて繰り返し読むことで、それが自分に馴染んできます。こうなってはじめて、含み資産となって自分のパーソナルキャピタル(自分資産)として蓄積していきます。
1,500円の本を100倍の15万円にするには、究極本を作って資産を作ります。
9.基本的に読み返しはしない
レバレッジ本を作ってしまえば、基本的に一度読んだ本は読み返すことはしません。なぜなら重要な箇所は既にまとまっているためです。それよりも、新しい本を読んだりレバレッジ本を読み返す方が、重要なエッセンスが凝縮されているので価値があります。
ただし、名著と呼ばれる本は別で何度も読み返します。
こういった本は当時重要と思っていた部分と、時間が経過した後では重要と思える部分か異なるためです。名著を久しぶりに読むと、自分の成長やスキルによって線を引く箇所が変わります。基本的には読み返しはせずにメモを復習し、名著だけは繰り返し読むと、効率よく読書を投資として活用できます。
10.レバレッジ・リーディングを読んだ感想
読書をする人口が年々減っている昨今、レバレッジ・リーディングのように読書をすればその他大勢のビジネスパーソンから一気に抜きにでることは安易に想像ができます。レバレッジ・リーディングでは年に400冊の読破を目指していますが、それ程読まなくとも大きなリターンを得ることは十分に可能です。週に一冊を読んだとしても、情報強者になることも可能です。
本は最高の自己投資というのが分かっていても、実際に読み続けられる人は少数です。
「勝間式 金持ちになる読書法」要約&レビュー:知識の力で財産を築くにあるように、本を読むほど時間にも金銭的にも自由になれる可能性が詰まっているためです。レバレッジ・リーディングでは重要な所をプリントアウトして持ち歩きますが、現在はEvernoteやメモ帳などに保存をしていつでも見返すことができます。
そういった意味では究極の本は作りやすくなったと言えます。
面白いのは本を読んですぐに効果や結果がでなくとも、自分の中にストックとして蓄積され投資の複利のようにリターンが大きくなっていくところです。最初は小さな知識や情報だったとしても次第に大きく膨れ上がり自分の利となって返ってきます。それは1,500円が15万円になるように100倍以上になって返ってくるはずです。
11.まとめ
レバレッジ・リーディングは読書を完全に「投資活動」として位置付けたアプローチをしています。なので、ビジネス書や実用書ととても相性がよく、1,500円の本を15万円という大きなリターンに変換する仕組みがまとめられています。小説や娯楽として読書をしている人にとっては、不要なアプローチですが、ビジネス書を何冊も読んでも得るものが少ないと感じる人にとって、レバレッジメモは実行する価値があります。
- 読書をする目的を明確
- 本をスクリーニング
- 読む時間を決める
- メモを取りながら読む
- フォローアップ
というようになります。
まずは週に一冊から読み始め、少しづつ読むペースを上げていきそれに合わせてリターンも大きくなると期待していくと、無理なく読書の習慣も身に付くはずです。
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