黒川 伊保子(くろかわ いほこ)さんの著書、『夫のトリセツ』の要約と感想をしていきます。
本書は、女性(妻)視点から見て、「なぜ夫(男)ってそういう言い方、考えになっている?」というイライラやストレスを感じている人の本です。そもそも、男女の脳は、得意とすること、反応するポイントや物事の捉え方が違っています。これを知らずに、「私(女性)の常識=夫の常識」と思い込んでいると、すれ違いは埋まりません。
「夫婦生活は愛情があればうまくいく」というのは、最初のうちだけ。
そう信じて結婚生活をスタートさせた方も多いでしょう。しかし、実際のところ、「なんでこんなに分かり合えない?」「なぜこんなことで喧嘩になる?」という感情になったことはありませんか?
- 夫はどうして、私の話を聞いてくれない?
- どうして夫は、こんなにも気が利かない?
- どうして夫は、黙り込んでしまう?
こうした疑問は決してあなただけの悩みではありません。その答えは、夫婦のどちらが悪いという話ではなく「男女の脳の仕組みの違い」によるものだとしたら、どうでしょう。
たとえば、女性は「共感されることで安心し」、男性は「解決策を示すことで安心する」。女性は「経緯から話したがり」、男性は「結論を先に聞きたがる」。こういったすれ違いに気づくだけで、日々のイライラの半分は避けられる。(最初の数年はいいかもしれませんが、年数を重ねるごとに…)。
※本書は、男女の脳の違いを軸にアプローチの提案をしていますが、この「男性脳・女性脳」という考え方(ニューロセクシズム:男女の行動や思考の違いが、脳の性差とする考え)には科学的根拠が薄いという指摘もあります。
Contents
1.『夫のトリセツ』の概要

- 夫のトリセツ
- 著者: 黒川 伊保子
- 発売日: 2019/10/19
- 出版社: 講談社
- 価格: 935円
本書のテーマと目的
『夫のトリセツ』のテーマは、「男女の脳の違いはどこにあるのか、そのすれ違いを理解(解消)することで夫婦関係を良くする」ことです。多くの夫婦が経験する「なぜか分かり合えない」「なんでこうなる?」という疑問やイライラは、性格や努力不足ではなく、脳の仕組みの違いに原因があります。
本書の目的は、お互いが無理なく自然体でいられる関係性を築くための「脳から見たアプローチ」を提供することです。嫌いじゃないのにすれ違ってしまう。そのジレンマをなくし、夫婦がなるべくストレスを感じないような日常を取り戻すこと。それこそが、本書が目指すゴールです。
著者・黒川伊保子とは?
著者の黒川伊保子氏は、人工知能(AI)研究者として脳のメカニズムや言語の働きを研究してきました。男女の脳の違いや、コミュニケーションにおける脳の働きについて、多くの著書を通じてその知見を広めてきました。彼女の著作は、自身の結婚生活や子育ての経験も交えられているので、その語られる言葉には、リアリティと温かみがあります。
著者は「脳の違いを理解することが、すれ違いを解消するアプローチになる」と提唱し、本書ではその知見を夫婦関係に応用することで、すぐに実践できる形にまとめてあります。
なぜ「夫のトリセツ」が必要なのか?
家電に「取扱説明書」があるように、これを読まずに使っていると、故障の原因になります。夫婦関係もこれと同じです。脳の仕組みを理解せずに生活し続けると、そのすれ違いは少しづつ大きくなり、関係はさらにギクシャクしていきます。
これらの違いを知らずに、「なんで分かってくれない?」「どうしていつもこうなの?」と感じることは、お互いにとってストレスになります。だからこそ、本書は「夫の取扱説明書」として、男性脳の仕組みを理解し、そのためのコミュニケーション方法を解説しています。
本書を手に取ることは、夫という「パートナー」をあらためてどう接したらいいのか、考え直すきっかけになります。
2.夫婦関係がこじれる頭のなか

夫婦がすれ違いになってしまう原因は、愛情が足りないからでも、どちらかが悪いからでもありません。その根本には、男女の脳の働きの違いがあります。頭の働きや感じ方、反応が違うことをわからずに「どうして分かってくれない?」と求め続けると、お互いに疲弊し、関係はさらに悪くなっていきます。本書では、それぞの脳の違いを知って、夫婦関係の「なぜ?」を明らかにし、改善へ向かわせていきます。
すべて夫が悪いのか?
「いつも夫はどうしてこうなる?」という疑問やイライラは、多くの人が抱えている悩みのはずです。しかし、関係がうまくいっていない理由を「すべて夫のせい」にしてしまうと、問題はさらにこじれていきます。たとえば、女性側が気持ちを伝えているのに、夫はなにも言わずに黙ってしまう。そんな場面になったとき、「無視されている」「私の話なんてどうでもいいんだ。」と感じることもあるはずです。
しかし、夫が黙ってしまう理由は「話を聞きたくないから」ではなく、「言葉にうまくできないから」というケースが多いのが現状です。男性脳は、自分の感情や思っていることをすぐに言語化するのが苦手な傾向にあります。それを知らずに妻がさらに問い詰めると、夫はますます話さなくなり、結果的に「何も言わない=無関心」という認識になっていきます。
すれ違いの原因は、「夫が悪い」「妻が悪い」という単純な構図ではなく、お互いの脳の特性や考え方の違いを理解し合えていないことにあるのです。
男女の脳の違いとは
男女の脳は、それぞれ異なる役割を担ってきました。男性脳は「目的型」、女性脳は「共感型」という特徴があります。たとえば、妻が「今日は、ほんとうに大変な1日だった!」という話し始めたとき、妻が求めているのは「共感」です。ですが、夫は「じゃあ、どうすればいい?」と解決をしようとします。こんなささいなことにも、男女のすれ違いが生まれています。
また、女性は「経緯から話す」ことでストレスを解消し、男性は「結論から話す」ことで効率的にコミュニケーションを取ろうとします。この違いをわからずに「なんで話を最後まで聞いてくれない?」と不満になったり、「なんで要点を言わない?」と言われたりすると、日常の会話がストレスになっていきます。
さらに、男性は「沈黙」でストレスを解消し、女性は「会話」で心を軽くします。夫が何も言わずにぼーっとしている時間は、彼にとっては「心の安静時間」です。その時間を妻が「無関心」と受け取ってしまうと、またしてもすれ違いが生じます。
経緯を語りたがる女性脳 vs 結論を急ぐ男性脳
夫婦の会話がすれ違ってしまう理由のひとつに、「経緯から話したい女性脳」と「結論を先に知りたい男性脳」という違いがあります。女性脳はそれまでの物事の経緯や背景、そのときの感情を伝えることで、相手との共感をしたいと考えます。一方で、男性脳は目的志向型なので、「何を伝えたいのか?」という結論を最初に知ることで、その後の情報を整理しやすくなります。
たとえば、妻が「今日、スーパーに行ったんだけど、道がすごく混んでて、やっと着いたと思ったら駐車場がいっぱいで…」と話し始めたとき、夫の頭のなかには「で、結局何が言いたいの?」という疑問が浮かんでいることが多いです。妻は「話を聞いてほしい」「共感してほしい」と思っているのに対し、夫は「オチ(結論)はなに?」と先を急いでしまいます。
このギャップが、お互いに「話を聞いてくれない」「要点がわからない」という不満になる原因になります。しかし、これはどちらが悪いという問題ではなく、脳の情報処理の違いにすぎません。妻は「まず話を最後まで聞いてほしい」と伝え、夫は「先に結論を教えてほしい」と言うことで、すれ違いはぐっと減っていきます。
男性の沈黙、女性のおしゃべり
男性が黙り込むという行動に、女性は不安や不満を感じることがあります。「何か怒らせた?」「私に怒っている?」と不安になる気もしますが、男性はただ黙って「考えごとをしている」または「なにも考えていない」状態にあることが多くあります。男性脳にとって、沈黙はストレス解消や思考整理のための時間にあるからです。
それに対し、女性脳は話すことでストレスを発散し、安心感を得る傾向にあります。心配事や不安があると、誰かに話を聞いてもらうことで気持ちが軽くなります。しかし、話を聞く側の夫が「解決策」を提示しようとしたり、「黙る」ことで応えてしまうと、女性側はさらに不安や不満になっていきます。
このすれ違いを解消するには、男性は「今、考えごとをしているだけだよ」と言うだけで、女性の不安はなくなります。女性は男性の「沈黙時間」があることを知り、焦らずに待つ姿勢を持つことがコミュニケーションになります。お互いの特性や考えていることを少し尊重するだけで、関係性はスムーズになります。
3.使えない夫を「頼れる夫」に変える方法

「夫がもっと気を利かせてくれれば……」とため息をつく妻は少なくありません。しかし、「気が利く夫」になるかどうかは、性格ではなく、育ってきた環境、そしてパートナーとのコミュニケーションによって左右されます。
本書では、夫婦関係を円滑にするための「男性脳へのアプローチ方法」が解説されています。重要なのは、「夫が自ら気付くこと」を期待するのではなく、「具体的にしてほしいことを伝え、そのための行動をルール化すること」です。
男の対話力は母親の影響を受ける
男性の対話力は、母親との関係性にも影響を受けています。子どもの頃に母親との対話のなかで「言葉で自分の感情を伝えること」を学んでいきます。母親が息子の話を遮ったり、指示ばかりを与えたりすると、「自分の意見を言っても意味がない」と感じるようになり、言葉でのコミュニケーションを避けるようになります。
母親が息子の話をしっかり聞き、共感の話をすることで、男性は「話をすることで気持ちが通じる」という体験を持ちます。その結果、大人になってからも、妻とのコミュニケーションで「自分の考えや感情を言葉にする」ことに抵抗が少なくなります。この習慣を大人になってから影響を変えることは難しいもの。だからこそ、妻側が「彼の対話力を引きだすこと」が求められます。
「なんで言わないの?」と責めるのではなく、「私はこう思っているよ。あなたはどう感じてる?」と尋ねることで、会話のリズムが作りやすくなります。
男性にルール化を作るメリット
男性脳は定番に強いというメリットがあります。ルール化されたタスクに強く、「その場その場で察する」ことが苦手で、具体的に「何をどうするか」を指示される方が行動しやすくなります。
たとえば、「気が利く夫になってほしい」と抽象的に言うのではなく、「夕食後のお皿はシンクに運んでほしい」と具体的にお願いする方が、夫にとっては実行しやすく、行動に移しやすくなります。また、その行動が「自分の役割」として定着してしまえば、習慣化しやすくなります。ここでは夫の行動を、あたりまえと思わないことです。彼がひとつルールを守って行動したら、感謝の気持ちをしっかり伝えることで、その行動は続きやすくなります。
愛を測ると自滅する理由
「愛情」を目に見える形で測ろうとすることは、夫婦関係にとって危険です。なぜなら、男性の愛情表現は女性のそれとは違った形で現わすこと多いからです。女性はサプライズが好きと言われますが、それを期待するのは簡単ではありません。なぜなら男性は定番のことを愛情表現と思っているためです。
たとえば、夫が無言で運転をしているとき、それは「安全に運転して家まで送り届けること」を目的としており、これも愛情表現のひとつです。しかし、その沈黙を「つまらない」と受け取ってしまうとズレが生じます。また、記念日を忘れたことが「愛情がない」と解釈されることもありますが、男性脳は「日付やイベント」を重視しない傾向があるため、ただ「うっかり忘れた」というケースも多くあります。
愛情を測るのではなく、日々のなかにある「彼なりの愛情表現」を見つけることです。男性は言葉よりも行動で愛情を示すことが多く、そのサインを見逃さないように受け取ることで、夫婦関係はより穏やかなものになります。
夫の言葉を裏読みしない
「夫のなんでもない言ったことに傷ついた」という経験を持つ女性は多くいます。しかし、多くの場合、夫の言葉には悪意はなく、ただ「そのままの意味」で言葉を発しているのも多くあります。夫が「今日のご飯、ちょっと味が薄いね」と言ったとしたら、妻は「私の料理が下手だと言いたいの?」と受け止めてしまうことがあります。しかし、男性はそのときに思ったことを言っただけであり、それ以上は考えていなかったりします。
男性の言葉を裏読みしすぎると、無駄なすれ違いが生まれ、関係がぎくしゃくしてしまいます。重要なのは、「言葉をそのまま受け止めること」。もし言っていることに疑問や不安を感じたら、「それってどういう意味?」と聞き返すことで、不要な怒りを防ぐことができます。
夫婦のコミュニケーションは、シンプルであればあるほど勘違いをせず、スムーズになります。言葉の裏を読むよりも、率直に相手に聞く習慣を持つことで、関係はより健全なものになります。
4.ひどい夫を「思いやりのある夫」に変える方法

長く一緒にいると夫を冷たく感じたり、協力的でないと感じることは、どんな夫婦にも起こりうることです。ですが、それは必ずしも夫の性格や愛情不足が原因ではなく、脳の仕組みやコミュニケーションのズレが関係していることが多くあります。
人間の脳はふつうであれば、相互作用(インタラクション)によって快感を得る仕組みになっています。自分の行動がだれかに影響を与え、その反応が返ってくることで喜びを感じます。多くの人は、ポジティブな影響(人に憧れられたり、感謝されたり)によって満足感を得ますが、一部の人はネガティブな影響(恐怖や混乱を与えること)によって快感を得ることがあります。
まったく知らない人がこういう性格でも無視すればいいですが、近くにこういった人がいる場合は注意が必要です。こういった人は、デリケートではないため、逆境にも動じず、イヤな仕事を引き受けたりというタフさとパワーを発揮することがあります。それ自体は社会にとって不可欠な要素かもしれませんが、家庭やパートナー関係においては厄介な存在になることが多くなります。
ネガティブ・インタラクションを避ける
相互作用(インタラクション)の対極にある、ネガティブ・インタラクションは、会話がいつの間にか「指摘」「非難」「皮肉」に満ちてしまうことです。こうしたネガティブなやり取りをしていると、次第に夫婦関係は深刻なダメージを受けていきます。男性脳は、否定的な言葉や批判を「自分を否定された」と強く感じやすく、その結果、心を閉ざしてしまいます。
夫が家事を手伝ったものの思ったことをしてくれなかったとします。そのとき「なんでこんなこともできないの?」と責めるのではなく、「助かったよ、次はこうしてくれたらもっと助かるな。」と伝えることで、ネガティブな空気を避けることができます。
ネガティブ・インタラクションは、ほんのささいな言葉から始まります。「どうせあなたには無理」「いつもそうだよね」といった言葉は、お互いを遠ざけるだけです。代わりに、ポジティブな側面に目を向け、「ありがとう」「助かった」といった感謝の言葉を使うことで、夫婦間の関係は変わっていきます。
愚痴よりもポジティブな伝え方
女性はつい、話し始めるときに「愚痴」や「悲しい気持ち」から入ってしまうことが多いものです。「自分の大変さ」や「辛いこと」をまずはわかってほしいという気持ちがそうさせます。ですが夫に対しては、これは逆効果になりがちです。結論からシンプルに伝えたほうが、すんなり理解してもらえることが多いのです。
ご飯を作りたくない気分のときに、「今日はご飯を作りたくない。ただダラダラしたい」なんて、まじめな主婦ほど言いにくいものです。そんなとき、キャッチフレーズを使って、「家族みんなの幸せのために、今日、お母さんはご飯を作りません!」と言ったとします。夫や子どもが「どういうこと?」と聞いてきたら、シンプルに「今日はすごく疲れていて、このままご飯を作ると、イライラしてキレてしまう」と正直に伝えます。すると、夫や息子も怒ることなく静かに、なんとか対応してくれるはずです。
これが愚痴になってしまうと、「君だけじゃない、俺だって忙しいんだ」と言われたりして、望んでいた結果にはたどり着けません。大事なのは、ポジティブ・プレゼンテーションと明るいキャッチフレーズです。小さなことで、コミュニケーションはスムーズになります。大事なのは、「相手が受け取りやすい形」で伝えること。それだけで、日常のすれ違いは減らせます。
妻を母親や手下のように扱うわけ
男性が無意識に妻を母親や自分の手下のように扱ってしまう、そんな場面に心当たりがある方も多いかもしれません。これは単なる性格ではなく、男性脳に由来する部分が大きくあります。
男性脳は「身体拡張感覚」が強いとされています。たとえば、車や道具を「自分の身体ののように感じる」などです。車が小石を踏んだら、その振動を自分の足で踏んだかのようにリアルに感じる。車のテール部分は自分のジーンズのポケットほど身近に感じられる。など、自分の手足のように操ることができます。幼い頃からその傾向は顕著で、男の子がミニカーを「ブーブー」と走らせ遊び続けたり、工事で働く車に目がいってしまうのも、この「仕掛けのあるもの」に対する脳の憧れがあるからです。
そんな男性脳の特性は、やがてパートナーにも影響を及ぼします。男性は無意識に、妻を自分の身体のように感じてしまうことがあるためです。だからこそ、褒めることもなければ、感謝の言葉もでてこない。腕や心臓に「ありがとう」と言わないのと同じように、妻に対しても自然とそうなってしまうのです。
その代わり、妻に先立たれたときの男性のダメージは大きいものがあります。まるで自分の身体を失ったかのようにショックを受け、急激に弱ってしまうことも珍しくありません。興味深いことに、感謝やねぎらいの言葉をあまりかけないタイプの夫のほうが、妻を失った際の喪失感が深く、早く後を追うケースが多いとも言われています。
「してあげたい」が招く落とし穴
「してあげる」という行為は、自己肯定感を満たし、心地よい達成感があります。だからこそ、多くの女性が無意識に“なんでもしてあげたい”という状態になってしまうことがあります。これが続いてしまうと、夫は「妻がいなければ何もできない存在」になってしまうこともあります。
もちろん、夫がそれを望んだ場合もあるかもしれませんが、ほとんどは妻がその状況を作ってしまっていることも少なくありません。これから結婚生活を始めるなら、「してあげる」ことに夢中になってしまうと、夫や子どもが家庭のなかで自立心や自己肯定感を感じることが減ってしまうかもしれません。新婚の高揚感のなかでも、意識的に夫を頼る場面を作り、「自分でやってもらう」ことを習慣づけることが大切です。
夫に対して不満が溜まってしまうと、優秀な女性ほど「もう自分でやるからいい」「何もしてくれなくていい」と心を閉ざしてしまいがちですが、これは関係は悪くなっていきます。むしろ、そのときこそ「してもらう」ことを増やすタイミングです。夫が家事に無関心になってしまう背景には、過去に「してもらう」ことが不足していたことが関わっているかもしれません。
夫婦関係を育て直すには、「頼る」「任せる」「一緒にやる」という姿勢が欠かせません。そのを踏みだす柔軟さこそが、夫婦の今後を分けるポイントになります。
5.夫婦円満のための日常習慣

夫婦喧嘩はあってとうぜん思われがちですが、脳の仕組みを使って、適切なアプローチを取ることで、その頻度やストレスを減らすことができます。男性脳と女性脳は、物事の捉え方や反応に違いがあるため、そのズレが衝突の原因になることが多くあります。
男性脳は論理的かつ、ひとつのことに集中型であり、目的や指示がなければ行動に移りにくい特徴があります。女性脳は共感や感情の共有に重きをおいているので、細かな気配りや周囲の状況を察知するのに優れています。この違いをわかった上でコミュニケーションを取ることが、むだな喧嘩を防ぐテクニックです。小さなことだとしても『複利で伸びる1つの習慣』のように、脳は「うまくいった」という体験があるほど、その習慣が定着しやすくなります。
夫婦関係は、日々の小さな習慣や言葉のやり取りによって作られます。互いに無理をせず、自然体で支え合っていく関係こそが、長続きする秘訣になります。
夫に家事を任命する効果
家事全体の流れがわかっていないパートナーに「なんとなく察してほしい」と期待するのは、トラブルになりがちです。そうではなく「これをやってくれるだけで助かる」と思う作業を決めてお願いするのがポイントです。
「ほんとうに助かるタスク」を夫に任せることで、夫の存在感が高まり、夫婦の関係も良くなります。その際、お願いをする前に、日々妻がどれだけのタスクをこなしているかを夫に知ってもらう「キャンペーン」を数回行うのがおすすめです。その上で、「ご飯をセットしてくれるだけで天国なの。お願い!」と伝えれば、夫も素直に引き受けやすいでしょう。
たとえば、「夜寝る前にお米を研いで炊飯器にセットする」ということ。主布団に入ってから「あっ!」と気づいて立ち上がるストレスから解放されるだけで、助けになります。
どの家庭にも、妻が抱えている「ストレス」という家事はあるものです。その「ストレス」を夫に任せることで、夫婦の関係がよりスムーズになります。自分の家事ストレスを見直し、それを分担する形で新しい協力スタイルを築くと関係にも効果があります。
弱みを見せて頼り合う
私たちは、自分の存在や行動が誰かに喜んでもらうと、それに応じた反応が返ってくることで満たされます。これが、人が「自分が必要とされている」と感じる喜びになっています。逆に言えば、自分がいなくても困らない存在とずっと一緒にいることは、難しいのかもしれません。
たとえば、あなたが外出して夫に家をまかせた際に、帰ってみると家はピカピカ、子どもはお風呂に入ってすやすや眠り、夫は何もなかったようにコーヒーを飲んでいたとしたら、あなたはどう感じるでしょうか?「助かった!」と思うと同時に、どこか疎外感や劣等感を覚えてしまうかもしれません。反対に、帰ってみたら家は散らかりっ放しで、台所は汚れている。それでも、子どもと夫が「帰ってきた!」「ママ~!」と抱きついてきたら、どうでしょう。「なんでこうなるの!」と思いつつ、感情がこみ上げてくるものです。
結局のところ、家族とうまくいくには「弱みを見せて頼り合う」ことに尽きます。これが本当のインタラクション(相互作用)です。
専業主婦であれば、自分の人生を預けるという、インタラクションを実現しています。しかし、「完璧な主婦」を目指してしまうあまり、まるで道具のように自立しすぎてしまうと、夫に「俺がいなきゃ」と感じさせる機会を失ってしまうかもしれません。
また、互いに働いていたとしても注意が必要です。ただの分担として家事を進めていると、夫婦が「家族」ではなく「同僚」のようになってしまいます。そこを防ぐためには、甘えるテクニックも有効です。「あなたが淹れてくれるコーヒーがあると、仕事がうまくいく!」と、頼る姿勢を見せるだけで、夫婦の間にインタラクションが生まれていきます。
「してもらう」で愛は深まる
自分の存在や行動が誰かや何かに影響を与え、それに応じた反応が返ってくることで満たされるのです。これが、人が「自分が必要とされている」と感じる喜びの源泉でもあります。逆に言えば、自分がいなくても全く困らない存在を心から愛し続けることは、難しいのかもしれません。
たとえば、夫が「今日は出かけておいで。子どもの面倒も家事も、全部任せて」と言い、帰宅すると家はピカピカ、子どもはお風呂に入ってすやすや眠り、夫は余裕の表情でコーヒーを楽しんでいたとしたら、あなたはどう感じるでしょうか? 「助かる!」と思う反面、どこか疎外感や劣等感を覚えてしまうかもしれません。
一方で、帰ってみたら家は散らかり放題、台所は大混乱。それでも、子どもと夫が「帰ってきた!」「ママ~!」と抱きついてきたら、どうでしょう。「なんでこうなるのよ!」と怒りつつも、家族の愛しさがこみ上げてくるのではないでしょうか。
結局のところ、家族の絆とは「弱みを見せて頼り合う」ことに尽きます。これが本当のインタラクションなのです。
専業主婦であれば、夫に自分の人生を預けるという、最強のインタラクションを実現しています。しかし、「完璧な主婦」を目指してしまうあまり、まるで道具のように自立しすぎてしまうと、夫に「俺がいなきゃ」と感じさせる機会を失ってしまうかもしれません。
また、キャリアウーマンであっても同様に注意が必要です。ただのタスク分担として家事を進めると、夫婦が「家族」ではなく「同僚」のようになってしまうこともあります。そこを防ぐためには、少し甘えるテクニックが有効です。「朝、あなたが淹れてくれるコーヒーがあると、仕事がうまくいくの」と、素直に頼る姿勢を見せるだけで、夫婦の間に特別なインタラクションが生まれるのです。
家族の中で必要とされ、頼られること。それが、お互いを結びつける力になるのです。
結婚のありかた
「恋人であり続けたい」という女性の理想と、「妻である」という役割は、しばしば共存が難しいというのが実情です。夫を恋愛の延長線上で考えるのではなく、家族として受け入れることが求められます。その過程で、恋のときめきは家族の仲へと変わっていくし、しみじみとした愛情が夫婦関係を感じられるようになります。それは派手さや甘さとは無縁ですが、夫婦だけが共有できる時間になります。
結婚生活では、妻が「やさしい言葉」や「察してもらうこと」に過度に期待せず、自分自身でその価値を見出していくことが大切です。結婚の本質とは、完璧な形を求めるのではなく、その不完全さを楽しみながら歩んでいくことにあります。
6.妻のトリセツと共感
女性にとって、共感という感情はマニュアル車のクラッチのような役割です。まず感情に寄り添ってあげなければ、意見や提案がうまく伝わりずらいです。たとえば、「あなたが悪い」と責めるよりも、「それは傷ついたよね。大変な日だったんだね」と共感をしてほしいと考えます。つらい日を過ごした女性が求めているのは、問題解決ではなく、共感とねぎらいです。
謝ることについても同じで「残業で、遅くなったんだからしょうがない!」と正論で返すのではなく、「心細い思いをさせてごめん」と感情に寄り添ってあげる言葉の方が効きます。女性は「残業」を怒っているわけではなく、心細さを理解しない情のなさに悲しみを感じているからです。正論は、女性をさらに傷つける結果になることもあります。
男性脳には、こうした「共感」のが見過ごされがちです。男性は目の前の状況に気づきにくく、妻が求めていることを察する能力に欠けることがあるからです。たとえば、赤ちゃんのおむつ替えで困っている妻が隣にいても、夫が無反応なことがあります。それは怠慢や無視ではなく、ただ状況を把握していないだけです。狩猟を役割としてきた男性は、半径3メートルより広い範囲を「ざっくり見る」ように進化してきました。
近い距離での細やかな状況は女性に委ねられてきたからです。何万年もの間、それでうまくいっていたはずが、21世紀の現代では、家の中でも妻が求めるように行動することが期待されるようになりました。男性にとって、この状況は新しい挑戦になります。共感や気づきを取り入れ、お互いの立場を尊重することが、現代の夫婦に求められる課題と言えるでしょう。
7.『夫のトリセツ』を読んだ感想
📚『夫のトリセツ』読了。
男女の脳の違いを活用したコミュニケーション術はおもしろいけど、科学的根拠が薄い部分も。
「共感は女性脳のクラッチペダル」という比喩は秀逸⚙️💡。ただ、ニューロセクシズムへの懸念も頭に置きつつ読むべき。夫婦関係を改善するヒントとしては〇✨
#夫のトリセツ pic.twitter.com/aSydJSaAiZ
— Yuuki F. Davis (@yuukifdavis) January 9, 2025
『夫のトリセツ』を手に取るのは女性が多いと思いますが、男性として読んでも、「なるほど」と感じられるはずです。夫婦関係のトラブルやすれ違いは、「愛情が足りない」のではなく脳の使い方によるものだという視点は、不満やストレスがある夫婦に取って新たな気づきです。「あ、これ俺のことだ」と何度も頷く男性も多いはずです。
なかでも「男性は結論(ゴール)をすぐ知りたい、女性はそれまでの経緯を大切にする」という部分は、コミュニケーションパターンにぴったり当てはまっている人も多いはずです。夫婦間において妻の話が長いと感じてしまうことや、「つまり何が言いたい?」と思うときは、まさに脳の違いからくるものという特徴。
また、「察してほしい」と期待することが、すれ違いの原因だという指摘にもハッとさせられます。男性脳は明確な指示やルールの方が動きやすいので、「何をしてほしいか」を具体的に伝えられると再現しやすい。たとえば「週末になったら一緒に掃除しよう」ではなく、「土曜日の10時からリビングの掃除をしてほしい」と具体的に言われたほうが行動しやすいのです。
男性はそのときの成果や結果を重視しますが、夫婦関係は数値化できるものではありません。「自分ばかり頑張っている」と感じることがあったとしても、それはお互い様。小さなありがとうや、たまに意識的に渡す小さなプレゼントが、夫婦関係を続けていくには必要です。
ただし冒頭にも書いたように、「男性脳・女性脳」という考え方(ニューロセクシズム:男女の行動や思考の違いが、脳の生得的な性差とする考え)を強く持ちすぎると、固定観念を助長してしまい、性差別や社会的不平等を正当化することにつながってしまうことも考慮しなくてはいけません。科学的根拠が乏しいまま「あるある話」を利用すると社会的な偏見や不平等を助長するといった懸念もあります。
8.まとめ|夫婦関係は「理解」と「工夫」から始まる
『夫のトリセツ』が教えてくれるのは、「愛情」だけでは夫婦関係はうまくいかないという現実です。お互いに好き合って結婚したはずなのに、なぜ些細なことでぶつかってしまうのか。その理由は、男女の脳の違い、それをわあからおうとしないまま感情的に反応してしまうことにあります。
男性脳は論理的で、結論や結果を傾向が強いのに対し、女性脳は共感や過程を大切にしています。この違いが、日常のコミュニケーションにおけるすれ違いや誤解を生み出す原因になっています。これを性格や愛情不足と考えてしまうと、解決策は見えなってしまいます。
本書では、男性が「気が利かない」のではなく、指示が抽象的だと動きづらい脳の特性があること、沈黙は「無視」ではなく、ストレスを解消するための時間であることが書かれています。逆に「察してほしい」という期待だけでなく、具体的に伝えることによって勘違いを解消できます。夫婦関係を良くするためには、努力や愛情表現だけでなく、小さな工夫が必要になります。
夫婦は他人同士が一緒に生活する関係だからこそ、言葉を尽くして伝える方法が必要です。『夫のトリセツ』を通じて学んだことを日常に取り入れれば、無用なストレスや誤解が減り、もっとスムーズな関係が築けるはずです。夫婦関係は、どちらか頑張るのではなく、互いの理解と小さな工夫から始まるシンプルな真実を、本書は教えてくれます。

『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』の要約: 読解力不足が引き起こす問題
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