Donald Miller(ドナルド・ミラー)の著書「ストーリーブランド戦略」のBook Reviewをしていきます。本書のキャッチコピーに「人々が買うのは、最高の商品ではなく、一番わかりやすい商品だ!」とあるのですが、この言葉を聞いた時に、音楽家のモーツァルトとプッチーニの事を思い浮かべました。(金銭報酬と語り継がれるコンテンツは別という意味です。)
モーツァルトといえば、天才の中の天才で大天才ですが、その音楽を聴けばモーツァルトの楽曲だとすぐに分かります。それに比べ、音楽に精通していない人にとってプッチーニという名前も知らなければ、曲を聴いても分からないかもしれません。
現代になっても他の追随を許さず、真似すらできない程の楽曲を作ったモーツァルトですが、それだけ素晴らしい物を作ったのだから生涯を通して裕福だったのか?といえばそうでもありません。生まれた時は良かったのですが、時代背景も重なりモーツァルトの楽曲に対し、妬みや嫉妬、人種などの壁があり、裕福になる仕組みがありませんでした。それに対し、プッチーニはビジネスマンとして優れていたおかげで、裕福な生涯を歩みました。(現代に受け継がれている楽曲はモーツァルト優位ですよね。)
この例は極端ですが、最高の商品を作ったからといって、必ずしも裕福になるとは限りません。商品が劣っていたとしても、仕組みやその時代に合った商品を販売する方がメリットがある場合もあります。(芸術家にとって金銭は二の次、三の次でしょうが。)なぜなら消費者は小難しい事が嫌いだし、当たり前ですが自分の利益を優先に考えるためです。
本書のストーリーブランド戦略では、物語を使って相手に分かり易く伝え、商品を販売していく戦略を学べます。主人公を自分にすると失敗し、主人公を顧客にするとストーリーが始まります。
私達がすべきは、顧客の導き手になる事です。
Contents
1.ストーリーブランド戦略の概要

- ストーリーブランド戦略
- 著者: Donald Miller
- 出版社: ダイレクト出版
- 発売日: 2018年4月
- 価格:(本体2,980円+税)
第1部 マーケティング費用がかさむ理由
第1部の「マーケティング費用がかさむ理由」では、失敗するマーケティングについてです。優れた商品を作って消費者に販売しても思うよな結果が得られない事は多々あります。その時に商品のデザインやブランド戦略ばかりを考えても売れるようにはなりません。そもそも良いデザインだからと言って、必ずしも売れるとは限らずマーケティングに失敗する理由につながります。いくら商品やコンセプトを分かり易くした方が良いと分かっていても、それを伝えるのは簡単ではありません。
伝える方法が間違っていると広告費用が掛かってしまったり、時間を無駄にしてしまう可能性すらあります。
第2部 ストーリーブランドの構築
第2部の「ストーリーブランドの構築」では、物語に使える実際のスクリプトについてです。消費者に商品を購入してもらうには、商品やサービスを主人公にするのではなく、消費者にスポットライトを当てて主人公にする必要があります。自分の商品やサービスに対してあえてライバルや悪役を作り、物語の関心を高め消費者との関係性を強めます。どれだけこちらが行動(購入)して欲しいと思っても、それを消費者に促さない限り、消費者は行動してくれません。分かり易く何度も行動喚起を促す必要があります。
最後に物語には結末(結果)を用意しましょう。
第3部 ストーリーブランド・ブランドスクリプトの実践
第3部の「ストーリーブランド・ブランドスクリプトの実践」では、母体となるウェブサイトについてです。商品を販売する前に看板となるウェブサイトを改良し、そのポイントにも物語性を加えます。これには一貫性が無くてはいけません。又、それだけでなく、一緒に働く従業員にも簡潔なメッセージを浸透させ、会社に使命感を持たせます。こうする事で、従業員は自信を持って働く事ができ、離職やモチベーションの維持にも繋がります。
第4部 導入ガイド
第4部の「導入ガイド」では、ほぼ無料で事業を成長させる取り組みについてです。見込み客を獲得するためにウェブサイトで無料のPDFやプレゼントを登録してもらいその代わりにメールアドレスを取得します。その登録してもらったメールアドレスにステップメールを流し、販売する仕組みを作ります。この際もストーリーを使って、顧客をどこに連れていきたいのか、どのような物語にすれば分かり易く届くのか構成を考えます。
見込み客を顧客にし、既存の顧客に固定客になってもらい、顧客が口コミ広げ、これらす全てを自動化する仕組みを作るのが最終段階です。
2.なぜストーリーブランドが必要なのか?
そもそもなぜ、マーケティング(販売)にストーリーブランドが必要なのかというと、「人は分かり易いを好み複雑を嫌う」ためです。そして、自分にとってどのような結末(結果)が得られるのかが、一番興味のある事です。その結果の分かり易さを伝える方法として、ストーリー(物語)が効果的というのが本書の結論です。あなたの商品がどれだけ時間を掛けて、素晴らしい商品を作り上げたとしても、同じような商品で分かり易いコンセプトに負けてしまう場合があります。
それだけ消費者は混乱や複雑を嫌います。
「売れる脳科学」にあるように、商品の概要を論理的に長々と説明をされても、消費者の心は動かされませんし、購入の行動はしてくれません。伝える内容はシンプルであればある程良いし、sうとーりーによる感情が動かされる程欲しくなってしまいます。
3.ジョブズの広告の失敗と成功
実際にストーリーブランドを実践した企業がiPhoneを販売しているAppleです。創業者であるスティーブ・ジョブズはAppleを一度去っていますが、その語に携わった会社がPixar Animation Studios(現CGIアニメーション)です。Pixarを設立する前のジョブスはLisaというコンピュータを売っていましたが、このLisaは当時最先端の技術で作られたコンピュータでした。
Lisaを販売する広告として、The New York Time(新聞)にびっしりと説明を9ページ載せて掲載しましたが、反応は良くありませんでした。なぜ最先端のコンピュータなのに売れなかったかというと、その広告を見た時に消費者がどれだけ凄いコンピュータなのかピンと来なかったためです。(ITに興味がある人以外はスペックや性能などはさほど気にしません。)説明が過ぎてそのコンピュータを使って何ができるのか、自分にとってどんな利益があるのか分かり辛かったためです。その後Appleに戻った際は、簡潔なメッセージに変わっていきました。
9ページだった広告は「Think Different」の2語です。
その後のAppleの成長は言うまでもありません。これは別にコンセプトだけに限った話ではなく、説明書などもその類です。携帯の説明書といえば、以前は分厚く何ページににもなるような物で、それを読んでいる人はほとんど居なかったはずです。それがiPhoneになった途端にほぼ説明書といった物はなく、直感で触れて分かるような商品に変わっていきました。
4.ストーリーブランド7つの基本構成
商品をセールスするにせよ、消費者に商品を知ってもらうにせよ、シンプルで簡潔であるのが望ましいです。さらにその背景にストーリーがあれば、行動をしてもらい易くなります。
このストーリーを一番実感できるのは、ハリウッド映画ではないでしょうか。本書ではパイレーツカリビアンやスターウォーズのパターンについて解説されています。なぜ両者の映画は続編が出る度に映画館に人が押し寄せるのでしょうか?なぜ、世界中で熱いファンが居るのでしょうか?これらは「あるパターン」が決まっています。
➀主人公
ストーリーブランドの基本原則➀は「主人公」です。繰り返しになりますが、物語の主人公はあなたが販売する商品やサービスではなく、消費者だという事です。スポットライトを浴びるのは消費者で、あなたは主人公を導く側にならなければなりません。消費者にスポットライトに当てると「消費者はどんな商品やサービスが欲しいのか」が分かるようになります。そしてその主人公はどんな物なら購入したくなるのか、どんな物語を望んでいるのか明らかにします。
この時潜在的に欲しいを提供するのがコツです。
例えば副業をしたいというのは顕在的で、「副業をして家族を旅行に連れて行きたい」というのが潜在的な欲求です。
➁問題の特定
ストーリーブランドの基本原則➁は「問題の特定」です。消費者はどんな事に困っているのか、消費者に直面する問題です。さらにその問題に対する「悪役」の登場が必要になります。現在問題解決するためにライバルとなる相手はどんな商品や問題があるのか。あなたの商品はそれらの悪役を倒す存在でなければなりません。
➂導き手の登場
ストーリーブランドの基本原則➂は「導き手の登場」です。主人公が「自分にはできる!」という自信を持たせてあげたり、背中を押してあげるような存在です。時には叱咤激励し励ましの言葉を投げかけたり、課題克服のためのアドバイスもします。物語では、導き手の存在で主人公がさらに強くなったり、新たな力を身に付けたりします。
ビジネスをやっている以上、売り上げを気にするのは当然だし、結果を出せなくてはいけませんが自分の事業の成功ばかりを考えるのをやめて、主人公(消費者)の成功ばかりを考えると、事業は成長していきます。人が求めているのは他人の成功でなく、自分を成功に導いてくれる存在です。もしあなたのビジネスが主人公を成功に導いてくれるような商品を持っていたとしたら、それを購入してもらえるのは簡単だと想像がつくはずです。
導き手は相手に、
- 共感
- 導き手の資格
これらを提示して、あなたが導きとして相応しいというのを認めてもらえれば、消費者は喜んで行動してくれるでしょう。
➃計画の提示
ストーリーブランドの基本原則➃は「計画の提示」です。物語がどんなものであれ、行動するための計画が無いと、消費者は何をすれば良いのか分からなくなります。この段階まで来ると、消費者とあなたの間に信頼関係が生まれているので、「何をすれば問題の解決になるのか具体的な提示」をしましょう。行動計画は具体的である程良く、迷わせてしまうと物語がスムーズに進めなくなってしまいます。
ビジネスである以上、消費者との間に金銭のやり取りが発生しますし、消費者があなたの計画を見た時に、問題解決できると確信し喜んで金銭を払ってくれるのが理想的です。
➄行動喚起
ストーリーブランドの基本原則➄は「行動喚起」です。行動計画後に最後の背中を押す段階と言って良いでしょう。消費者は何をすれば得たい結果を手にできるのか?「今すぐ注文」「今すぐ電話」「予約注文」「サービスに登録」「購入」この一押しが行動喚起の役割です。
➅回避したい失敗
ストーリーブランドの基本原則➅は「回避したい失敗」です。基本的に人は「成功した時に何を得られるのか」にしか興味がありません。ですが実際は結果を得られなかった時に失う物も存在します。痛みを伴ってこそ、物語を遂行するエネルギーにもなります。映画でも何か行動を起こさないと酷い結果になるからこそ、主人公は勇気を持って行動をします。
ずっと安心安全なら行動する必要もありません。
あなたの商品を買わないとどんな良くない結果を招くのか伝える事で、消費者は失敗を避けるために喜んで購入してくれます。何を得られるのかも重要ですが、人は痛みを伴ったり失う物がある方が、大きな感情を抱きます。不満や不満があるからこそ抜け出すために必死になります。
➆成功する結末
ストーリーブランドの基本原則➆は「成功する結末」です。行動喚起も分かり易く具体的であったように、成功する結末もシンプルで分かり易くなくてはいけません。多くの人が目標や夢を持っていたとしてもモチベーションや行動が続かないのは、未来像が曖昧過ぎるためです。曖昧という事は、自分が何を得られるのか結果が具体的で無い状態です。
あなたの商品を買った(使った)後に、「消費者の生活はどのように変わるのか」何も変わらないのならば購入しなくていいし、わざわざ冒険を始めなくていいわけです。得られる未来像が具体的で生活が変わるからこそ、主人公は重い腰を上げて行動を始めます。
どんな物語でも目的地が必要です。
5.ストーリーブランド戦略を読んだ感想
ストーリーを作って、それに沿った筋書きを考えるのが私達の仕事です。多くのビジネスや商売で失敗してしまうのは、主人公がほとんど自分(自社)に向いてしまっていると感じます。「自分が素晴らしいと思う商品だから、相手も絶対欲しいはずだ!」という思いで作られた商品は主人公が自分になってしまっているので売れない。反対に、自分はそれほど欲しいと思っていなくても、「消費者が欲しいと思っている物を作れば売れてしまう」これが不変でしょう。
それに加え本書のストーリーブランド戦略を使って、結末(結果)を用意し主人公を相手側にすれば、利益は大きくなるはずです。
ただなんでも売れるからといって商品ありきで作ってしまえば、商品に思い入れが無くなってしまい、結果を提示するのが難しくなります。これらを包括して消費者が求めるマーケットと自分が描きたいビジョンがマッチしたい時に、最も納得できるサービスが展開できると感じました。
6.まとめ
素晴らしい商品やサービスを作るのは当然ですが、それでも消費者に伝わらなければただの作品になってしまいます。芸術家ならそれでも良いのかもしれませんが、商売をやっている以上売れないといけませんし、事業も続けられなくなります。
ストーリーブランド戦略の基本でもある、
- 主人公
- 問題の特定
- 導き手の登場
- 計画の提示
- 行動喚起
- 回避したい失敗
- 成功する結末
一般的には「主人公」を誰に設定して次に進んでいくと思いますが、実際は逆で「成功の結末」を最初に決めておく事で、全てがスムーズに進んでいくはずです。

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