Roger Dooley(ロジャー・ドゥーリー)の著書、「脳科学マーケティング100の心理技術」の要約とBook Reviewをしていきます。本書はセールステクニックやコピーライティングといったお客に物を買わせる技術ではなく、「お客が無意識に購入してしまうテクニック」を解説した書籍になっています。
論理的に売っているものが自分に必要かどうか、本当にそれが欲しいのか、ということを考えさせるのではなく、感覚的に「気付いたらかってしまっている」という状態を指します。
なぜこのような行動にでるのかといえば、ニューロマーケティング(サイエンス)は相手の脳に訴えかける技術であり、自然と脳にアプローチする手段だからです。もちろん私たちは、自分が下した決断や選択は、理性に基づいて行動した結果だというように思っていますが、実際は潜在意識が私たちの行動を大きく影響しています。
例えば食事に行った際に、3つの料金表示があって、一番多く注文されるのはどれでしょうか?
① ¥(記号)をつけた数字で表示:¥1,200
②数字のみ表示:1200
③文字と円の表示:千二百円
正解は、②番なのですが、注文の際に「お金」や「金額」を強くイメージさせた場合と、ただの数字では、②が一番注文が多くなることが分かっています。販売者からすれば、わざわざ売り込みやセールスをしなくても、お客の方から買いたい(欲しい)と言ってもらえるので、これほど気楽な販売方法はありません。
「脳科学マーケティング100の心理技術」こういったテクニックを、100個ほど紹介しています。
購入者視点で見れば、自分がつい物を買ってしまうのはなぜなのか、反対にこういった売り方をすれば、お客は価値を感じ自分の商品を欲しいと思ってもらえます。今回はニューロマーケティングのなかでも厳選して8つ、今日から使えるテクニックをまとめています。
Contents
1.脳科学マーケティング100の心理技術の概要

- 脳科学マーケティング100の心理技術
- 著者: ロジャー・ドゥーリー
- 発売日: 2013/11/25
- 出版社: ダイレクト出版
- 価格: 4,070円(本体3,700円)
2.脳科学マーケティング100の心理技術の要点3つ
本書の抑えておくべき要点は、3つあります。
要点1:より少ないお金で多くの結果を得る
広告マーケティングの場合は、大きな金額を広告費に投入し、「それをいかに回収するか」「大きな利益に転換できるか」がポイントになるが、ニューロマーケティングの場合は、自分が何かをするのではなく、顧客の脳に訴えかける方法になるので、少額の金額とリソース(人材)で十分となる。
そのためのマーケティングは、自分の脳ではなく、顧客の脳の力を活用する方法となる。
要点2:五感を刺激して商品を販売する
五感を感じるマーケティングを行うと、顧客はあなたの商品に対し、身近に感じやすくなったり、思い出してくれたりと、記憶に残りやすくなる。これを徹底しているのが、シンガポール航空で、世界観が統一された視覚情報と客室乗務員の香水、おしぼり、一定の容姿基準を満たさなければ採用しないといった、見た目にもこだわっている。
シンガポール航空は、顧客がサービスを受ける際に体感する感覚を重要視しており、いかに魅力的に、一貫して何を与えれば価値を感じてもらえるのかを考えている。
なぜシンガポール航空が他社の航空会社と違って満足度が高いのか、何度も利用してくれるのかは、企業における世界観の作り方と、そのブランド認識を浸透させてきた経緯がある。
視覚:ロゴ、商品デザイン
音:音楽、商品の音
味:商品の味
匂い:売り場やサービスの匂い
手触り:質感や形状
これらを組み合わせて商品を売ったりサービスを提供することで、他と差別化ができ顧客の記憶にも残り、価値を感じてもらいやすくなる。
要点3:紙媒体と脳は相性が良い
デジタルマーケティングと紙媒体の広告では、紙による広告や宣伝の方が、脳に「より深い痕跡」をの残す。デジタル媒体と違って紙媒体は手で触れることで触覚も刺激されるが、紙媒体の方が「現実的(リアル)」に感じるためだ。商品を買ってもらうには、その商品を手に入れてどうなるのかを顧客に思い描いてもらう必要があるが、紙ではその臨場感が上がるためだ。
3.著者のロジャー・ドゥーリーとは

Roger Dooley:Keynote Speaker|Author|Friction Hunter.リンクによる
ロジャー・ドゥーリーは、マーケティング・コンサルタント会社「ドゥーリー・ダイレクト社」の創業者であり、人気ブログ「Neuromarketing」(ニューロマーケティング)の執筆者です。
脳科学、行動科学に興味を持ち、独自の脳科学の最新知識をマーケティングの世界に活用した「ニューロマーケティング」を研究し、第一人者となっています。
クライアントは、「フォーチュン500」企業から小規模のeコマース企業まで幅広く、それらは自身独自のニューロマーケティングに基づいています。現在は講演やメディア活動なども行っています。Roger Dooleyというホームページを参照すると、彼の活動やどのようなマーケティングをしているのかを、掴みやすくなります。
4.なぜいま、ニューロマーケティングなのか
「脳科学マーケティング100の心理技術」の元になっているニューロマーケティングは、脳科学の知見を利用して顧客の心理や行動原理を分析し、マーケティングに役立てるというものです。通常のマーケティングでは、お客は何かを購入する際に自分の本音(建て前)を隠し、心を開いてくれません。
そして、そもそも本人が自覚すらもしていない感情や想いは「消費者インセント」となり、自分でも気付かない場合があります。ニューロマーケティングでは、こうしたお客の消費者インセントを分析し、それらを顕在化させる役割も持っています。
自分では気付いていないということは、言語化もできないので、無意識化の判断や選択もニューロマーケティング実践者は、影響させられるというメリットがあります。
商品を目にしてから、どのような行動をとるのか、視線の動きや感情などを組み合わせることで、より「好印象」を持ってもらえたり、「購買意欲」を高めたりできます。パンフレットの文字を読ませているつもりで、その背景の画像で臨場感を高めたり、表情を分析しどの広告の反応がしやすいかなどの、分析も可能です。
つまりニューロマーケティングは、言語を非言語を使用したマーケティングで、効果の測定や反応率を従来のマーケてぃぐよりも、把握しやすくなると言えます。
5.今日から使える脳科学マーケティング厳選8つ
ここからは実際に、「脳科学マーケティング100の心理技術」から厳選して、今日から使えるニューロマーケティングを8つ紹介します。
脳科学マーケティング1:嗅覚を刺激して売る
人が感じ取る匂いは、その人が意識しようがしまいが、思考を経ずに記憶や感情を呼び起こす作用が強力です。マーケターのなかには、「人間の感情の75%は匂いによって引き起こされる」という人も居るほどに、嗅覚は様々な場面で活用できます。
匂いが及ぼす影響は、人の善悪さえも変えてしまいます。
全く同じスニーカーを用意し、一つの部屋は無臭で、もう一つの部屋は花の芳香で満たされれいるとき、花の芳香で満たされている部屋のスニーカーの方が、良い商品だと評価する人が多くなります。
五感のなかでも、嗅覚だけは直接、大脳辺縁系に呼びかけます。そして、大脳辺縁系は感情の中枢を担っており、匂いによって鮮明な記憶が蘇ります。
いったん脳に記憶された匂いは、視覚情報によって蘇ることもあり、実際に嗅がなくとも匂いを感じ取れるようになります。例えば、テレビを見ていておいしそうな料理が出た際に、あたかもそれを嗅いだかのように、脳内で嗅覚反応が起こることがあります。
性能がサービスが全く同じような商品だったとしても、匂いを変えるだけで付加価値となり。その商品を優れていると思ったり、性能すら誤認させてしまうというのが、嗅覚を刺激するマーケティングとなります。
脳科学マーケティング2:心地よくなるBGM(テーマ)を流す
嗅覚と同様に聴覚も、人の意思決定に大きな影響を及ぼします。例えば、ワインショップの店内でフランスのBGMを流せばフランスのワインが売れるし、ドイツのBGMを流せばドイツのワインが売れることが実験で判明しました。他にも電話の保留中に、心地良いBGMや適切なBGMが流れている場合は、電話でも対面でも、顧客が長い列や長い時間待つことを耐えてくれることが分かっています。
商業施設で流れている音楽を、顧客は全く意に介さないとしても、顧客の耳にはきちんと届いており、それによって消費者行動をも変える力を持っています。
どんな商品やサービスでさえ「このBGMが最適」というものはなく、それぞれ提供するものによって、適切なBGMは変わります。
反対に、音楽を全く流さない場合や、適切ではないBGM、適当なFM放送を流したりすると、顧客が早く帰ってしまったり、売り上げが下がってしまうことがあるので、注意が必要です。
脳科学マーケティング3:脳は知っているブランドが好き
知名度のある物や、知っているブランドはそれだけで強い影響を及ぼします。有名なブランドとあまり知られていないブランドでは、(肯定的感情、報酬、自己認識)と関連させようと、脳が活性化したのに対し、あまり知られていないブランドの場合は、記憶(見たことがあるブランドか判断)を優先させ、否定的な感情が活性化しました。
強いブランドが持つ影響力は、私たちの判断を簡単に狂わせます。
商品がどうであれ知名度の高いブランドならばその商品が良く思えてしまうし、良い商品だとしても知名度のないブランドでは、購買意欲も下がるし、否定的な感情を抱いてしまうという、恐ろしい結果です。
脳科学マーケティング4:紙媒体は脳を活性化させる
画面のデジタル情報を得るときよりも、紙に印刷された情報を見るときの方が、脳内の感情的処理が多く行われることが分かっています。さらに紙媒体の方がデジタルに勝る部分がもう一つあり、それが「重さ」です。
ある調査で、被験者にクリップボードで挟んだ就職希望者の履歴書を見てもらっているときに、軽いクリップボードと重いクリップボードを挟んだとでは、より重い方が就職希望者が真剣だという認識を持ちました。私たちが普段使う言葉でも、特定の文脈では「重い内容」「重い作品」というように、真剣さの示しとなることがあります。
紙によって読む人を関心させたいのであれば、より厚い紙にして印刷し、表紙にコーティングするなどすると、より価値を感じてもらえるし相手が受け取る情報も変わってきます。
触覚刺激は潜在意識に働きかけるので、印刷物の重さや硬さ、質感なども同様に効果を持ちます。
脳科学マーケティング5:シンプルな書体を使う
紙とデジタル両方に言えることですが、書体はシンプルなものを選ぶようにします。同じ文章があった際に、目にしたことのある書体で書かれている場合と、ほとんど見たことのない書体で書かれている場合では、内容に関わらず見たことがない書体では、ネガティブな感情を受け取ってしまうことが分かっています。
これは知覚流動性に関わっており、読みにくい書体は、脳が情報を処理するまでに時間がかかってしまいます。
コピーライティングやマーケティングの世界で、「KISS」(Keep it Simple, Stupid)(シンプルで分かりやすく)というのは、大げさではありません。顧客やクライアントなど、相手に行動してもらいたい場合は、シンプルで読みやすい書体を使ってシンプルにまとめてあげます。
簡単に解決すると思ったり、それほど頭を使わずにできると思ってもらえたのなら、知覚流動性が上がり結果も出やすくなります。読みやすい大きさの書体で、シンプルで簡潔な言葉と文章構成を使って書けば、成約率は上がっていきます。
脳科学マーケティング6:商品を無料で使ってもらう
広告やコピーライティングの世界で「無料」というキーワードは、大きな威力を持っています。「ほぼ無料」と「無料」では、ほとんど意味が変わらないのに対し、無料の方が反応率は比べられないほど上がります。
顧客に信頼してもらいたいのなら、まずこちらが顧客を信頼しなくてはなりません。この考え方は、脳内のオキシトシンという物質によって影響されます。オキシトシンは、神経系に作用する物質で、相手と信頼関係を構築するのに役立ちます。
人は、自分が何かをしてあげたり喜んでもらえたりすることで、脳の気分が良くなります。つまり、無料で何かをプレゼントして喜んでもらえば、自分が嬉しくなり幸福になっていきます。さらに受け取った相手は、もらって嬉しいと感じればお返ししたくなり、あなたの商品を買ってもらえる可能性が高まります。
もしあなたが、顧客に信頼してもらいたいと考えているなら、
- あまり制約をせずに商品を貸し出す。試用してもらう。
- 無駄な審査をせずに信用取引をする
- 顧客とあなたの秘密を共有する
などすると、あなたが顧客のことを信頼していると認識してもらい、そうれ同時に信用もしてもらえます。顧客にしてみれば、自分が信頼していると思ったら、それに報いるように自分も相手に返してくれる確率が高まります。
脳科学マーケティング7:魔法の言葉は「新商品」
「無料」というキーワードと同様に、顧客が聞いて嬉しい言葉は「新商品」というキーワードです。新規性(ノベルティ)は、脳の報酬神経を活性化させ、好奇心を高めさせます。
なぜ新規性を好むのかといえば、人間の祖先が新しい食料の確保や生存必需品に出会ったときなど、進化の過程で有利に働いてきたからだと言われています。自分にとって必要でないと思っていても、新商品と聞くだけで欲しくなってしまったり、自分に必要だと錯覚させてしまうこともあります。
この新商品を求める好奇心は今も健在で、新しい商品(パッケージを変えたり、バージョンアップ)などで、惹かれ続けます。
人が新しい決断や選択をすると、脳内の報酬系神経回路でドーパミンが放出され、刺激されます。もしあなたが商品を販売しているなら、なんらかの形で「新商品」に変えることで、競争している相手に対し優位に立つことができます。
脳科学マーケティング8:広告はストーリーを交ぜる
人はストーリーや物語を聞いたときに、その臨場感が高まります。人間の脳は、話を聞くのが好きで他の動物よりも優れている長所です。
大半の動物は「食べたら具合が悪くなる」ということを身を持って体験をしますが、人の場合は「体験したことを他人に話し、聞いた本人は自らが体験した経験」のように想像できます。
小説を読んでいて、涙を流したり悲しんだりするのは、こうした共感や体験のように感じることができるためです。読んだ内容によって異なる脳領域が活性化し、登場人物がモノを掴めば読んでいる人の運動ニューロンが発火するし、登場人物が風景を見れば、視覚領ニューロンが発火します。
つまり読書をするときの脳は、受け身になっているだけでなく、脳を通した実体験(スクリプト)として、実行していることになります。読書をしているときは、「出来事や行動を思い出したり、想像すること」に似ています。
実際に聞き手と語り手に分かれて体験談を話すとき、話が始まると聞いている方も、ほぼ同じようなニューロンの活動が見られることが分かっています。
広告によって物語を話すことは、脳の特別な作用を利用し、相手の共鳴を得ることになります。
見込み客に行動を起こしてもらいたいときは、あなたの商品やサービス、ブランドなど、なぜそれが完成したのか、それが完成するまでの道のりやストーリーを話すと、顧客の脳はあなたが実際にストーリーを通した実体験のように、脳の活性化をさせることが可能となります。
6.脳科学マーケティング100の心理技術の口コミ
次に実際に、「脳科学マーケティング100の心理技術」を読んだ方のレビューをまとめていきます。Amazonとダイレクト出版から、高評価と低評価のポイントを、それぞれ3つ抜染していきます。
脳科学マーケティング100の心理技術の高評価
脳科学マーケティング100の心理技術の低評価
7.脳科学マーケティング100の心理技術を読んだ感想

「脳科学マーケティング100の心理技術」は、脳科学とマーケティングの融合を通じるニューロマーケティングとして、消費者の心理(無意識)に訴えかける手法を100個まとめた書籍になっています。
著者は脳科学の分野を独自で学び、その知見を活かしつつ、人間の脳が物やサービスを購入する際に、どのようなプロセスで情報を処理し、感情や行動にどのように影響するかを解説しています。これによって、読者はなぜニューロマーケティングが有効であるのか、非言語のノウハウを学ぶことができます。
また本書では、具体的な心理技術が100個提案されていますが、全てを使いこなさずとも、良いところだけを掻い摘んでも十分なテクニック要素があります。ストーリーによって相手の臨場感を上げる技術などは、ストーリーブランド戦略や売れる脳科学と通ずるものがあります。
それぞれの技術がどのような状況で有効であるかを、自分の中に落とし込めば、シチュエーションによって使い分けることもできます。本書は多くの事例や実験結果を引用しながら書かれているので、それぞれの分野に応用し、実践していくのが主な活用法になります。
総じて、「脳科学マーケティング100の心理技術」は、脳科学とマーケティングの知識を組み合わせ、効果的なマーケティング戦略を構築するための実践ガイドブックで、ダイレクト出版のなかでも人気の書籍となっています。
8.まとめ
今回は「脳科学マーケティング100の心理技術」のなかでも厳選して8つ紹介しましたが、
- 嗅覚を刺激して売る
- 心地よくなるBGM(テーマ)を流す
- 脳は知っているブランドが好き
- 紙媒体は脳を活性化させる
- シンプルな書体を使う
- 商品を無料で使ってもらう
- 魔法の言葉は「新商品」
- 広告はストーリーを交ぜる
どれも今日から使えるテクニックです。顧客の脳の5%に売り込むのではなく、私たちの思考、感情、行動の95%を司る無意識にアプローチするのがニューロマーケティングの醍醐味です。既に「売れるロジック」は決まりがあるので、あとは視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感を活用する必要があります。

「TAKE NOTES!」の要約:メモを資産にするツェッテルカステンの全て
コメントを残す