マグさんの著書、「1%読書術」の要約とBook Reviewをしていきます。本書は、1%(24時間=1440分⇒1/1440=約15分)を使って、読書効率を最大化するメソッドがまとめられています。多忙な現代社会で効果的に読書を活用し、限られた時間で最大の知識や洞察を得る方法は多くの人にとって有益です。
私たちは日常生活の中で、さまざまな情報に触れる機会がありますが、限られた時間の制約から、本を完全に読み切ることは難しいことがあります。しかし本書では、たった1%の読書量でも、有益な情報を獲得し、自己成長や問題解決に繋がる手法を紹介しています。
この読書術の核心は、選択と集中です。
本書では、いかに無理をせず気軽に読書習慣を身に付ければいいのか、そのプロセスについても具体的なアドバイスを提供しています。本の1%重要な部分を抽出し、それに対して集中的に取り組むことで、情報のスキミングや要点の抽出、速読技術を駆使して効率的に知識を吸収する方法を学ぶことができます。
さらに、1%の読書量でも多くの理解や応用力を高めるためには、読書後のアクションが重要です。本書では、読書の成果を最大限に引き出すために、SNSを使ったアウトプット法を解説しています。
「1%読書術」は、24時間あるうちの約15分という制約の中で効果的な読書を実現し、知識を活かす力を養うメソッドです。1%の読書量から得られる知識や効率的な読書術を身につけ、限られた時間の中で最大の成果を得たい人のための一冊です。
Contents
1.「1%読書術」の概要
1%読書術
マグ
文学系インフルエンサー
KADOKAWA
2022年8月発売
46判・272頁
(本体1500円+税)
2.「1%読書術」の基本メソッド6つ
本書は全てを一語一句読むという読書法はしません。あくまで気軽に楽しく読書をし、毎日続けていくということに注力しています。多くの人にとって本を完全に理解しようとすると、「ノートを取り、フレームを作り、マインドマップにまとめる。」などの作業が必要になります。これだけ毎日やっていれば、時間を大幅に取られますし、読書を嫌いになってしまう可能性もあり、続ける習慣も身に付きません。
そのために、1%(24時間=1440分⇒1/1440=約15分)毎日継続し、自分にとって重要であったり価値がある1%に出会うことを目的とします。一日1%を継続し、それがやがて自分の成長へと繋がり、未来の自分の知識を貯金していくことこそが、本書の要となる部分です。
「1%読書術」は読み方に6つの流れがあります。
- 目的の定義
- 目次を開き予測
- 気になる箇所をスキミング
- 目的の箇所を読み込む
- 言葉の置き換え
- 想起し、考えながら休憩
これらのステップを踏むことで効率よくインプットでき、たった1%の読書量であっても、自分の必要な情報や知識にアクセスすることができます。
①目的の定義
最初のステップでは、「なぜ自分がこの本を読むのか」を明確にします。時間がなくて少しでも自由な時間が欲しいと思えば、タイムマネジメントの本を手に取るだろうし、食事のバランスが気になるならば、栄養について書かれた本を手に取りましょう。まずは、自分の目的や目標を決めることで、読書時間の密度を増やすことができます。
②目次を開き予測
自分が目的を達成するための知識を探すため、目次を見て欲しい情報や知識があるのか予測します。目次はその本で著者が伝えかったことを俯瞰するのに便利で、その本はどういった内容なのかが、イメージしやすくなります。1%の時間で知識を効率よく吸収するには、取捨選択が重要になってきます。
③気になる箇所をスキミング
見定めた目次を元に、気になった箇所をスキミング(飛ばし読み)します。①の「目的の定義」が正しく設定されていれば、カラーバス効果により、自分の欲しい情報がすぐに分かるようになします。(詳しいスキミングの速読については後述)
④目的の箇所を読み込む
スキミングによって目に留まったところを精読していきます。この際(著者の主張、理由、具体例)など、自分が理解できるまで読み込みます。
⑤言葉の置き換え
読んだ後は、すぐに「自分の言葉」に置き換え説明できるように要約します。自分で定義した言葉を使うことで、それがフックとなり後々思い出しやすくなります。
⑥想起し、考えながら休憩
最後に目を瞑り想起(頭の中で思い出す作業)です。さきほどの知識は自分にとって重要だと海馬に認識させ、長期記憶へと移行させます。明日からすぐに活かすために、どのような場面で活用するか考えると効果的です。
3.なぜ「1%読書術」で結果が出るのか?
「1%読書術」は上述した6つのステップで成り立っていますが、なぜ一日15分という読書時間のなかで、自分の欲しい情報を見つけ出すことができるのか。自分の知識になるようにアウトプットし定着できるのかといえば、本書の特徴である1%の時間と意識の恩恵が大きいためです。
「15分」は高い集中力が維持できる魔法の単位
人の集中力には限界があります。長く集中できる人もいますが、高度な集中力を維持できるのかといえば、そうではありません。本書の読書時間15分という単位は、「極めて高い集中力が維持できる」時間です。集中力だけでなく長期記憶の定着にも、15分は活用できます。休憩を挟みながら15分×3=45分学習するのと、60分休憩なしのグループが学習するのでは、45分という短い時間に関わらず、より大きな効果を得られたのは前者のグループでした。
人が効果的に学ぶには時間を長くするのはでなく、適度に休憩を挟んだ方が効率的なのです。
記憶効率を狙った「初頭効果」と「親近効果」
「1%読書術」の記憶効率において、初頭効果と親近効果も外せません。これらを端的にまとめると、「人は最初と最後の記憶が最も残りやすい」ということです。小説など読んでいるときも、最初のストーリーと結末は強く印象に残り、中盤のストーリはー細かく思い出せません。
試験のために徹夜で勉強をしたのに、ほとんど思い出せないのはこれらの効果のためです。
この初頭効果と親近効果は読書をする上でも重要で、中間部分の中身は思い出そうとしても、思い返せないことが多くなります。そのために、短い休憩を何度も入れたり、他のタスクをする時間を作ってみたり、読んだことを熟考するなどします。無理をして長い時間を読むのではなく、休憩を挟むことで記憶効率は高まっていきます。
「1%読書術」は仕組み(締め切りと期限)で集中力を作る
人が自由に使える時間が多いほど、物事を先延ばしにしやすくなります。『「ヒトはなぜ先延ばしをするのか」要約とレビュー:本当の理由と改善策』にあるように、すぐに物事に取り掛かれる人は少数です。つまり、タスクにかかる時間は「与えられた時間を全て使い切る」ことを前提に思考します。(30日の猶予期間があれば、30日に合わせてスケジューリングを組みます。)
この現象は、タスクと時間を計算した際に、緊急性が低くなってしまうためです。
ですが「1%読書術」だとそうはいきません。予め何の知識を得たいのかを決め、読書する時間も15分と決まっているので、先延ばしにすることなく、高い集中力とやる気を維持できます。同じタスクをするのであっても、締め切りと期限を設定することで、先延ばしにする問題も意図的に回避できます。
4.知識は恐怖を克服する解毒剤
何か物事を始めるときに、「怖い」という感情は誰にでもあります。それが自分の知らない分野や聞いたことのない物事ならばよけいにです。ですが、一度始めてみると案外簡単だったり、上手くいったりと自分の恐怖の感情が、なくなっていることに気が付きます。この両者の違いは、「知っているか」「知らないか」だけの違いです。
人は、知らないことに関しては怖いという気持ちを抱き、知っていることに関しては恐怖を感じません。
この知らない状態を克服する簡単な方法は、知識を身に着ける(読書)ということになります。知らない恐怖は常に無知から生まれ、知識は恐怖の「解毒剤」です。知識を身に着けることで、今まで怖いと感じていた感情がなくなり、新しいことにチャレンジできたり、より目標に早く到達できたりしやすくなります。
5.もっと気軽に、好きに読むための、7つの視点
読書を習慣にしようと思っても、苦行のように読んでも長くは続きません。むしろ、脳を最大限リラックスさせ、まるで読書の世界に自分が入り込んでしまうような感覚こそ、読書を楽しんでいる状態と言えます。そのために「読書はこうあるべきだ!」という先入観を捨てる必要があります。読書をもっと気軽に、好きに読むための方法として7つ知っておくべきことがあります。
一つ目は自分が難しいと思う本や、難解な本は理解することに意識が向けられ没頭することができません。そういった本は、避けるようにしましょう。二つ目は、慣れない横文字や意味のできない単語が多い本も避けるようにします。ページを開いたときに直感で理解できる本のほうが、没頭できます。三つ目は、好きなジャンルの本を読むことです。世間で人気のある本よりも、自分が現在興味のある本を選ぶようにします。四つ目は、複数の本を読み分けることです。気分や感情によって読みたい本は変わるので、常に複数冊用意しておきます。
五つ目は、好きな作者を選ぶ方法です。六つ目は、集中できる環境を選ぶことです。どれだけ読書に集中したいと思っても、雑音の多い場所では集中できません。自分が集中して読書をできる環境はどこなのか試すようにします。七つ目は、できるだけ紙の本を選ぶようにします。
これらをまとめると、
- 難解な本を避ける
- 分からない単語が多い本は避ける
- 好きなジャンルを読む
- 複数冊持つ
- 「作者」で選ぶ
- 集中できる環境を見つける
- できるだけ紙の本を選ぶ
これらを意識することで、本を読む敷居が下がり習慣化しやすくなります。わずか「1%読書術」のわずか15分という時間でも、苦痛や楽しくないという気持ちでは、続けることができません。
6.誰でも速読できる「スキミング法」
ここからは誰にでもできる、「スキミング」の速読法です。速読には様々な方法がありますが、一般的にこれらを身に着けようと思ったら、それ相応の日数が必要になります。それに比べてスキミングは、(斜め読み、拾い読み、飛ばし読み)を意識的に行い、その本は本当に自分が読むべき本なのか、素早く見定めることが可能です。
スキミングの基本は、「自分が精読する箇所が見極める」作業のことです。ですがなかには、「自分にはスキミングなんてできない」と答える人もいるでしょう。これはできないと思い込んでいる可能性があります。というのも人は、多くの情報に触れている際、ほぼ全てをスキミングしているためです。新聞を読んでいる時、一語一句精読しているというより、自分の読みたい記事や気になる箇所、興味がそそられるポイントを読んでいます。全ての文章を読まずとも、自分がそれを読むべきなのか瞬時に判断していることになります。
スキミングを行うコツは、
- 読む目的を決める
- その問題を解決できる箇所を無意識に落とし込む
- 指を添えて高速で文字を読む
これらの流れになります。ただしスキミングには注意点があり、自分の欲しい情報を探すことはできても、深く理解することはできません。スキミングはあくまで飛ばし読みであって、高速で文字を追っているだけの状態です。そのためスキミングによって欲しい情報を見つけたら、精読して深い理解ができるようにします。
7.「1%読書術」の効果を高める3つの工夫
基本的に、「1%読書術」は15分で目的を達成させる読書をします。この時間は集中力を高めるために決まっており、本の中で1%を学んだら想起しなければなりません。もう一度本を開く場合は、再度同じような読み方をする必要があります。
この時間の制約によって、中途半端な部分で読み終えることで「続きが気になる」という気持ちと、「もっと先を読みたい」という感情も加わり、「もっと本を読みたい!」という状態になります。これがまさに本が好きになるテクニックで、読書を習慣にする最も簡単な方法です。さらに、今まで読書が続かなった人でも3つの工夫を取り入れることで、毎日読書が15分続けられるはずです。
①寝る前の「1%読書術」
寝る前の読書は、記憶に残りやすい特徴があります。寝ている間は他のインプットがされないので、記憶の衝突が起きません。睡眠中は、頭の中で乱雑になっていた情報も整理され、寝る前の課題や悩み事も、目が覚めた瞬間に解決していることがあります。
②予測する習慣
本の表紙や目次、はじめにを読んでこの本にはどんなことが書いてあるのか、内容を予測します。
③SNSの活用
本で学んだ知識をすぐに役立てられれば良いのですが、そうではないときもあります。そういったときは、SNSを使って学んだ知識を人に教えるようにします。SNSを使い自分の言葉でまとめ直した知識を発信することで、記憶効率も上がっていきます。
8.読書嫌いを克服する聴く読書の恩恵
あたりまえですが、読書をしている間は他のことができません。特にSNSがこれだけ普及すると、わざわざ読書のための時間を確保するのが面倒になってしまう場合もあります。いかに短い時間で効率良く、有益な知識を吸収できるかがポイントになってきます。こういった忙しい人におすすめなのが、「聴く読書」です。
聴く読書ならば手が塞がっていようと、何かをしている最中であっても気にせず学び続けることができます。
忙しく読書の時間をゆっくり確保できない人ほど、聴く読書は向いています。オーディオブックであれば、プロのナレーターや音声システムが自動で読み上げをしてくれます。活字が苦手な人であっても聴くだけならば、苦痛になりません。一度再生すれば自分はただ聴き流すだけで知識が吸収でき、語彙力も増やすことができます。
スピードもある程度調整でき、2倍や4倍といったスピードに変えられます。最初のうちは速いスピードを聴き取れないかもしれませんが、何度も聴いているうちに耳が慣れ、意味も理解できるようになってきます。速いスピードを聴き取れるようになるということは、自分の頭の回転も速くなるので多くの恩恵が生まれます。
ただし聴く読書にも、デメリットはあります。
どうしても受動的で何かをしつつの聴く読書になるので、理解力という意味では、通常の読書より劣ってしまいます。本であればわからない箇所は何度も読んだり、読み返すことが可能ですが、耳読書の場合はそう簡単にいきません。
9.if-thenプランニングで簡単アウトプット習慣
読書をして新たな知識を得たのならば、アウトプットをして自分のものにした方が効果的です。そこで「1%読書術」では、if-thenプランニングという方法を使ってアウトプットをしていきます。if-thenプランニングは、「Aという行動とBという行動を繋ぎ合わせる」方法で、「AをしたらBをする」というように、生活習慣に取り入れる方法です。
例えば、A(21時にお風呂に入り)B(風呂上りソファーで1%読書をする)というように、紐付けしていきます。さらに、A(1%読書後)B(歯磨きをしながら読んだ内容を想起する)最後に、A(朝目覚めて水を飲んだら)B(1%読書で得た知識をSNSで発信する)というように、生活の中にプランニングするのが特徴です。こうすることで、無理せず読む習慣とアウトプットする循環が生まれるので、「新たに何か始めよう」とするよりハードルが下がります。
if-thenプランニングが自分のものになったか確認するには、無意識で紐付け行動できているか?に注力してください。
10.「1%読書術」を読んだ感想
本書は、1%(24時間=1440分⇒1/1440=約15分)を使っての読書を推奨しています。なので自分の目的で「こういう情報が欲しい」というインスタントの読書には向いていますが、教養やリベラルアーツとしての読書を考えている人にとっては物足りなく感じてしまうでしょう。
真面目に実践しようと思うと、15分単位で区切らなくてはいけなく、人によってはストレスになってしまう場合があります。その場合は、自分の集中力がどれほど持つのかテストしつつ、30分や45分まで伸ばしてみるなどの応用も試してみる価値があります。本を全て読み込まないというのは、『「レバレッジ・リーディング」要約&レビュー:効率的な読書スキルの習得法』と同様で、自分のリターンを最大化をしていく方法です。
読書と考えると身構えてしまったり、書いてあることを全て吸収しようと完璧主義になってしまいますが、本書の読み方であればそのハードルを下げ手軽に読み始めることができます。端から端まで読むと教わった人には、驚く読み方でしょう。
1%読書術では、短期的な効果が出るというより、1日1%の知識貯金で、「10年後圧倒的な成果を出す」という意識で読むのが正解です。
12.まとめ
「1%読書術」は、日常生活が忙しく、時間が限られている中で本を読むことは難しいと感じている人にとって、スピーディに欲しい情報を入手できる読み方です。本書が伝えるのは、完全に本を読み切ることではなく、本の中にあるたった1%に集中することで、十分な知識と情報を得ることができる方法です。
本を読む前に予め目的を決め、スキミングのテクニックも生かし、重要なポイントを抽出するという流れ。これによって、限られた時間の中で本から最大限の価値を引き出すことができます。
本書は、読書の質を向上させるだけでなく、15分という時間の中で、読書が苦手な人にとって気軽に始められるものになっています。限られた時間の中で有益な本を選び、集中して読むことで、欲しい情報の入手や知識の向上に繋がります。インプットとアウトプットのサイクルが素早いので、効率的な読書術を身につけ、日々の生活で得た知識を活かしやすくなります。
総じて、読書のプロセスやアクションの関心を高める一冊です。
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