Tim Ferriss(ティモシー・フェリス)の著書「週4時間」だけ働く。のBook Reviewをしていきます。原書は「The 4-hour Workweek」日本語の副題は「9時‐5時労働からおさらばして、世界中の好きな場所に住み、ニューリッチになろう。」となっています。「週に4時間」だけ働く。は全世界で35ヵ国語に翻訳されたベストセラーであり、なぜ週に4時間だけ働いて、世界中の好きな場所に住み、NR(ニューリッチ)になれるのか?ある意味で指南書のようなものです。
これは、自分のビジネスを所有しそれをできる限りアウトソーシング(バーチャル・アシスタント)する事で、週に4時間だけ働くという生活スタイルになります。
忙しくてリッチな人は多く居ますが、たったの4時間働いてリッチな人は多くありません。この両者の違いは自分をビジネスモデルの中に組み込んでいるか、外れているかの違いです。忙しいリッチであれば、自分が一生懸命になって働きその報酬として金額を受け取ります。ですが、この自由なリッチは自分が歯車外に居るので、「仕組みを所有している」という表現が正しくなります。
こういったビジネスモデルは例えば、著作権や印税、不動産などありますが、本書で扱うのは主にインターネットビジネスの類です。著者のTim Ferrissのブログ「The Blog of Author Tim Ferriss」を見るとイメージが湧くかもしれません。
朝に出社して夜まで働くというのがスタンダードになっている方にとっては、こういった生き方は「自分には無理だ」という気がしますが、大きなビジネスを作るのではなく、スモールビジネスを所有するというのが、再現性の高さに繋がっているのかと思います。その中で、「任せられる事は他人に任せる」というスタンスを取る事で自分は自由を謳歌していきます。
「週4時間」だけ働く。
Tim Ferriss【著】
エンジェル投資家
青志社
2011年2月発売
B6判・637頁
定価2,090円(本体1,900円)
Contents
1.「週に4時間」だけ働く。ニューリッチの生き方
「週に4時間」だけ働く。では、自分のビジネス(主にインターネットビジネス)を所有し、それを徹底的に外注化(バーチャル・アシスタント)する事で、自分の時間は増やし収入を得るという方法になります。その方法も自国で済ませるではなく、安いコストの他国(インド)などのサービスを使います。通常の個人事業主や社長であれば、自分が真っ先に働いて従業員と共に会社を大きくしていくのが一般的ですが、「週に4時間」だけ働く。では、人数は多くても1~5人程度。少数精鋭でビジネスを行っていきます。
ニューリッチのビジネスについては、
- アフィリエイト
- 情報商材
- サービス
- コンサルティング
- スキル・知識
などを販売していくのが自動化し易く再現性が高いと思います。実際にTim Ferrissもオンラインビジネスの収益も上げています。「ユープレナー起業術のBook Review」を参照してもらうと、自分の好きを仕事にするイメージが湧きます。
「週4時間」だけ働く。の目指すのがいわゆる「金持ち」ではなく、「Rich(リッチ)」というのも、他と異なるポイントです。金持ちを目指すのであれば、事業を大きくしキャッシュを増やし、多くの仕事をこなしお金を増やしていきますが、本書のリッチは「自分が必要な金額を決めてそれを稼ぐ」という違いです。多くの人はお金が欲しいと言いながらも、使い道を聞かれて答えられる方はほぼ居ません。
本当は必要と思わされているだけという事もあります。
ですがリッチの場合は自分が必要な物、欲しいと思う分を稼ぐので資金調達という表現が合うと思います。反対に言えば、余計なお金は稼ぐ必要も無いしたくさんのキャッシュのために働く必要も無いわけです。
ミニマリストというあまり所有せずに生きるライフスタイルがありますが、「週4時間」だけ働く。はそれを国内外旅行をしつつ、自分の住みたい場所で暮らしていきます。所有する物も少ないので、移動がし易く世界中のあらゆる場所で生活できます。もちろん、気に入った場所があればそこに長く住んでも良いですし、常に移動していても良いわけです。その間に自分の作った仕組みが働いてくれているので、収入も心配する必要がありません。
当然ですが、自分の時間が増えるのでその間は自分の好きな事をやったり、趣味に打ち込む事もできます。お金は何かをするための「ツール」という考えです。
では現在サラリーマンの方や、会社員の方はどうすればの良いかというと、リモートワークや成果型にしてもらって徐々に週4時間にシフトしていきます。少しづつステップを踏んでいき、理想のライフスタイルを実現していくのが良さそうです。
2.昔の「リタイアメント」や「先送りプラン」との違い
ほとんどの場合は、会社に就職し定年の60歳やそれに近い頃まで働き、その後リタイアして自分の好きな事をやるのが一般的だと思います。(今後は70歳やそれ以降も働き続けるかもしれません。)この年齢は今後引きあがっていくはずです。となると、自分がやりたい事ややりたかった事をやるのはそれ以降で、健康や資金の面の不安も出てきます。
また、一般的に会社で働ている限り、固定休日も決まっており時間の制約が掛かってきます。気軽に旅行に行きたいと思っても連休が取れなかったり、休日の範囲内での行動が決まってきます。自分の行きたい場所や、やりたい事は二の次でまずは会社を中心に生活が回っていきます。
NR(ニューリッチ)と人生先送り派の違いは、
- 先送り)自分自身のために働く
- NR)自分のために他人に働いてもらう
- 先送り)働きたい時に働く
- NR)最大効果が得られる最小必要量働く
- 先送り)枠くして引退を目指す
- NR)何かワクワクする事をする
- 先送り)管理職になる
- NR)経営者になる
- 先送り)大金を稼ぐ
- NR)明確な夢を持ち大金を稼ぐ
などの違いがあります。これが昔からの「リタイヤメント」や「先送りプラン」とNR(ニューリッチ)の違いです。
「週4時間」だけ働く。ではそういった先延ばしにしていた自分のやりたい事や、やりたかった事を先延ばしにせず、どうやって今すぐ実現できるのか戦略を立てます。例えば会社で働いているならばリモートワークや副業でビジネスを始め、新たなキャッシュポイントを作り、それを自動化させ自分の時間と収入を確保する仕組み作りをしていきます。こうする事で、何十年も会社に勤めあげる以外に自分の収益する柱を持って、自由を手に入れるようにします。
3.DEALという概念
本書では「DEAL」の概念が重要になってきます。
- 定義(Definition)「D」
- 捨てる(Elimination)「E」
- 自動化(Automation)「A」
- 解放(Liberation)「L」
これらのステップを踏んで週に4時間労働を目指していきます。NR(ニューリッチ)になるには二つの選択肢があり、上述の「DEAL」で進んでいくか、会社員のままNRを目指すのであれば「DELA」の順で進んでいきます。「D」でニューリッチとして自分の夢や目標・人生の定義を決め、「E」で無駄な仕事や人間関係、ストレスを無くし、「A」で仕事の自動化やインターネットビジネスの立ち上げ仕組みを作り、「L」で仕組みの中に居た自分自身を解放します。
定義(Definition)「D」
「D」の定義(Definition)ではアウトソーシング、「週に4時間」だけ働く。において、目指すべきはNR(ニューリッチ)なのですが、これは世間一般に言われているような「成功者」とはニュアンスが違ってきます。恐らくこれを読んでいるあなたの成功者のイメージといえば、多くの高価な物を所有し、会社は複数持っていて、住む場所は夜景の綺麗なタワーマンション。車もスポーツカーを乗り回し、お金を沢山稼いでいるような人ではないでしょうか?
こういった人が世間一般に言われている「成功者」だと思います。
上述したような人が良いとか悪いとかはさておき、「週に4時間」だけ働く。で目指すべき成功は「まず、自分の好きな事や、やりたい事がありき。そのためにお金は手段やツールとして資金調達をする。」というイメージです。つまり、「お金を沢山稼ごう!」というよりは、「●●をするためにいくら必要だからお金を稼ぐ仕組みを作ろう」という事になります。
これは似ているようで全く違う考えです。
なぜなら自分が欲しいと思う物以外は買う必要も手に入れる必要も無いので、身軽になれるという点です。多くの人が持っていたとしても、自分が不要だと感じたのならばそれは要らない物です。この最初のNR(ニューリッチ)の定義を間違ってしまうと、ビジネスの仕組みを作ったとしても働く時間が沢山増えて全く自分の時間が無いという事になりかねます。
捨てる(Elimination)「E」
「E」の捨てる(Elimination)は断捨離です。先ほど決めたNR(ニューリッチ)になる事以外の不要な情報や物を捨てる作業になります。毎日沢山の事やろうとするといくら時間があっても足りませんが、不要な行動を減らすほど自分のパフォーマンスは上がっていきます。余った時間を使って、収入を増やす作業に充てても良いでしょう。
自分の目指すべき目標や夢は決まったので、あとはそれに関係無いと思われる「時間管理術」「情報」「メール」「ニュース」「物」「人間関係」など、どんどん捨てていきます。こちらの「時間投資思考のBook Review」にも一日を24時間以上を生み出す方法を解説しています。
自動化(Automation)「A」
「A」の自動化(Automation)では、アウトソーシング(外注化)を使って「収入のオートパイロット化」を目指します。オートパイロット化するにはそれに適したビジネスや分野がありますが、簡潔に言ってしまうと「インターネットを使った商売」の事です。
「週に4時間」だけ働く。で作るビジネスは大きな事業ではなく、「ニッチ分野」と呼ばれる小さい市場です。小さい市場と聞くと収益がし辛いイメージがありますが、実際は逆で自分の理想とする商品やサービスを顧客に届けられるというメリットがあります。さらに、ライバルも少ないので第一人者として認められる可能性も高くなります。
第一人者になってしまうえば「●●といえばあなた」の状態になっているので、非常に商売が上手く進んでいきます。
販売のセールスや集客も仕組みさえ作ってしまえばインターネットがやってくれるので商品を作れば、ほったらかしのオートパイロット化はさほど難しいプロセスではなくなります。(最初の仕組み作りが肝心と言えます。)もちろん、この間にも細かな作業は必要になりますが、バーチャル・アシスタントを雇うなどして任せる事もできます。
解放(Liberation)「L」
「L」の解放(Liberation)では、自分の作ったビジネスモデルから完全に自分を消してしまいます。「金持ち父さん貧乏父さん」のBusiness OwnerやInvestorという立ち位置です。収益になる仕組みさえ自分が所有していれば良いので、あとはそれが回り続ける限り収入は入ってきます。
通常の金持ちやリッチな人はこの仕組みの中に自分が入っていて、自分が働いた分の報酬が増えていく仕組みです。長時間働けば収入は増えますし、短時間労働ならば収入減になってしまいます。こういった仕組みの中に入ってしまうとお金は増えますが自分の時間がどうしても限られてしまいます。そのため自分に使える時間が極端に少なかったり、常に仕事の事を考えるワーカホリックのような状態になります。
それに比べ「週に4時間」だけ働く。は最初から解放がプロセスにあるので、「いかに自動化してオートパイロット化し、自分の時間を有意義に使うか」に焦点を当てています。自分の好きな事をする時間や趣味に思いっきり集中できるので、ただお金を増やすとは趣旨が違います。
4.バーチャル・アシスタントで自由を手に入れる
自分が所有したビジネスモデルの外に出るには「バーチャル・アシスタント」の存在が欠かせません。バーチャル・アシスタントはどういった存在かというと、事務員やスタッフが近いニュアンスです。従業員だと自分の部下になってしまいますが、事務員ならば何かをお願いしたり頼ったりできる存在です。
このバーチャル・アシスタントを上手く使って、細かな作業や手続きなどをお願いし、自分の時間を確保します。「週に4時間」だけ働く。では、インドのバーチャル・アシスタントを雇う話など出てきますが、日本でも同様のサービスはあります。
商品を作って販売し、その問い合わせに返信をしてもらったり、サポート、メールなどもバーチャル・アシスタントにお願いできます。
5.インターネットビジネスが最適解
「週に4時間」だけ働く。のライフスタイルが理想と思っても実際にビジネスの仕組みを作らない限りは始まりません。では、何を始めれば良いのかというと、「インターネットを使ったビジネス」これ一択です。インターネットを使わない商売だと物理的な制約があり難しいですし、自動化はできません。インターネットビジネスならば安易に自動化ができるし、バーチャル・アシスタントも雇いやすいです。
「週に4時間」だけ働く。にはこの本を読んで実際にNR(ニューリッチ)になった人の声がいくつも載っています。その人達のほぼ全員がインターネットを使った商売です。つまりそれ以外の商売にしてしまうと、NR(ニューリッチ)になるのは難しいと言えざる負えません。ですが時間はあるので、仕組みを作った後で自分のやりたい事業を新たに立ち上げるという選択肢もあります。
さらにインターネットの商売ならば移動が自由というメリットもあります。「世界中の好きな場所に住む」とあるように、インターネットが繋がる環境であれば、国内外どこでも仕事はできますし、新たな仕組みやバーチャル・アシスタントに指示を出す事もできます。
6.「週に4時間」だけ働く。を読んだ感想
「週に4時間」だけ働く。を簡潔にまとめるならば、「オンラインビジネスを作ってそれを極限まで自動化し、自分は世界中を旅したり好きな事をする」というようになります。
イソップ寓話に「アリとキリギリス」がありますが、働きアリのように決まった時間に働いて定年まで働き続けるのではなく、キリギリスのように趣味を謳歌したり豊かに暮らしていきます。イソップ寓話ではキリギリスは仕組みを作っておらず、最後は寂しい結末ですが、NR(ニューリッチ)は仕組みを作ってオートパイロット化し、収益を上げ続けるので寂しい結末にはなりません。仕組みを作るのには時間が掛かったり、やるべき作業も多いですが仕組みを作った後は自由という事になります。
こういったライフスタイルは家族が居る方には難しいと思ってしまいますが、実際にケーススタディにあるように子供が居ても可能だと分かります。むしろグローバル教育ができるので様々な経験値を積むというメリットが生まれます。世界中に移動しながら生活するというより、複数の拠点を持って生活する方がイメージが湧くかと思います。(日本とハワイと香港のように。)
全世界で35ヵ国語に翻訳されたというだけあってどれだけの人が読んで行動を起こしたか分かりませんが、この本の通りにDEALを回しオートパイロット化すれば夢物語ではないと感じるはずです。実際に年功序列や終身雇用が危うくなった今、「週に4時間」だけ働く。の考え方はさらに重要になったと思います。今までだったら特定の人しかできなかったリモートワークもCOVIT-19が起こった事で、特別な事例では無くなりました。業種によっては難しいかもしれませんが、少しづつ近づけるような環境を作り出す事はできます。
お金への向き合い方も一般的なビジネス書とは違った解釈です。
いかに大きな金額を稼いでいくか、増やしていくかに焦点を当てた本は多いですが、あくまでお金はツール(手段)であって目的ではないというのも、本質を突いていると感じます。原書が日本ではないので、コーチングでいう所のBalance wheel(バランスホイール)を意識しているのかと思いました。
7.まとめ
日本ではあまり知られていない「週に4時間」だけ働く。ですが、Amazon US版では18,000ものReviewがついています。(だからこそ全世界で翻訳されているわけですが。)それだけ多くの人に影響を与えたり、読まれている本である事は事実です。今後はこういった生き方をする人は増えていくでしょうし、それに合わせたサービスやツールも出てくるはずです。
なので、敷居も下がるでしょう。
人によっては全く参考にならないと思う方も居るでしょうが、今のままじゃやばいと思っていたり定年まで会社で働くには難しいと感じている方、世界中を旅してみたいと思っていたり、趣味を謳歌したいなら一読の価値はあると思います。ただ本文で紹介されている様々なウェブサイトは情報が古くなっている可能性が高いので、そこは臨機応変に対応する必要があります。
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